渋谷駅周辺地域には、多くの企業・学校・商業施設・エンターテインメント施設などが集中している特性上、通勤・通学・買い物・観光などで多くの方々が来訪されます。
日頃、来街者でにぎわっている渋谷駅周辺ですが、大規模地震などの災害が発生し、交通機能などが停止してしまった場合には、速やかに自宅に帰ることができない人が多数発生し、大きな混乱が生じることが予想され、平日では職場や学校などに留まる約3万7千人に加え、屋外で約2万2千人が行き場なく滞留することが想定されています。
渋谷駅周辺帰宅困難者対策協議会は、渋谷駅周辺の約100カ所の事業所・学校・行政が一体となって、2009年5月に結成され、当社は事務局として同協議会の中心的役割を担い、渋谷区との連携体制の下、渋谷の街を訪れている人が大規模災害時に混乱しないよう、帰宅困難者対策の実効性を高めるための検討や、訓練の計画・実施による検証などの活動を推進しています。
これからも、訓練の継続などにより、今後も開発によって変化していく渋谷駅周辺の災害対策を充実させ、渋谷駅周辺地域都市再生安全確保計画への協力を継続しながら、さらに多くの方々に安心して来訪していただけるまちづくりに取り組んでいきます。
当社では、沿線地域の行政、商店街の他、地域で活動されているさまざまな団体と協働で、各種イベントや取り組みを実施するなど、東急線沿線各地域の活性化を図っています。
二子玉川ライズでは、地域の子どもたちやファミリーを対象に、防災と救急をテーマにしたワークショップイベントを開催しています。イベント当日は、地域の消防署、病院をはじめ、世田谷区、町会などのご協力をいただき、二子玉川ライズの運営スタッフや店舗スタッフが自らワークショップの指導役となって参加し、地域一丸となって防災・救急への啓発活動に取り組んでいます。また、世田谷区と連携して帰宅困難者受入訓練も毎年実施しています。
この他にも、地域主催で取り組んでいる清掃活動や交通安全運動、防災訓練や防犯パトロールなどにも、積極的に参加・協力をしています。
渋谷エリアでは、地域の方々や行政が中心となったイベントが年間を通して数多く実施されています。地域や行政と共に渋谷を盛り上げていくため、当社は東急グループの施設などと連携し、このような取り組みに対してさまざまな形で協力しています。
また、当社は官民連携で、渋谷の街の魅力づくりに取り組む「渋谷駅前エリアマネジメント協議会」と「一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメント」(以下、渋谷駅前エリアマネジメント)に参画しています。渋谷を「世界に開かれた生活文化の発信拠点」とするため、渋谷駅前の公共空間に掲出した屋外広告物の収益で、まちづくり活動を実施する社会実験を推進しています。
2020年8月には当社は渋谷区と「グローバル拠点都市の形成等に関する包括連携協定」を締結しました。相互の知見や人的交流を活用したソフト面のまちづくりに取り組み、公民連携でスタートアップ・エコシステムのさらなる発展、文化発信と産業振興を推進し、渋谷の街の国際競争力を高めることで、世界を代表する海外都市として、グローバル拠点都市の形成を目指します。
さらに地域の情報発信にも力を入れています。「渋谷文化プロジェクト」のウェブサイトでは、日々、渋谷で展開されているイベント、トレンド、グルメなどの情報の他、渋谷を中心に活躍するキーパーソンへのインタビューなどを通じて、渋谷の街の多様な魅力を発信しています。前述の渋谷駅前エリアマネジメントのウェブサイトでは渋谷駅前の将来像に関する情報や、渋谷駅中心地区工事・工程協議会と連携した工事中の渋谷駅前動線マップなどを発信しています。他にも渋谷駅前エリアマネジメント公式インスタグラムアカウントでは、本団体の活動に関する最新情報だけでなく、渋谷駅前エリアの魅力を発信しています。
2017年4月にクリエイターがより創造的なライフスタイルを実現できるような複合施設「渋谷キャスト」が誕生しました。行き交う人が、さまざまな文化や価値観に触れ、刺激を受けられる空間として、広場、多目的スペース、カフェなど、多くの共用空間を創出。また、多様な価値観を持った人の拠点となるようシェアオフィスやコミュニティ型賃貸住宅を設け、交流を促進しています。
2019年6月より、渋谷区に住む人・働く人が自ら主体となって、おとなりさんとのちょっとした交流の場を作る「渋谷おとなりサンデー」を開催。渋谷キャスト ガーデンを利用して、地域住民との交流、渋谷区内企業とのコラボレーション企画、近隣教育機関との連携による職業体験を実施しています。なお、2020年・2021年は新型コロナウイルス感染症対策のためオンラインでの開催となりました。
当社は、「次世代郊外まちづくり」の推進に関する協定を、2012年4月に横浜市と締結し、2017年4月および2022年4月に更新しました。この協定に基づき、多摩田園都市を含めた郊外住宅地が抱えるさまざまな課題(高齢化、人口減、老朽化、コミュニティの希薄など)を、産・学・公・民の連携・協働によって解決し、持続可能なまちづくりを推進するプロジェクトを進めています。
「コミュニティ・リビング※」の具現化を目指し、2017年5月には「次世代郊外まちづくり」の情報発信や活動拠点の場として「WISE Living Lab」を開設。また、2018年10月には、分譲マンション「ドレッセWISEたまプラーザ」の低層部に「多世代コミュニティ交流機能」「身近な就労機能」「子育て支援機能」が導入された地域利便施設「CO-NIWAたまプラーザ」を整備するとともに、「一般社団法人ドレッセWISEたまプラーザエリアマネジメンツ」を設立し、同施設を拠点としたエリアマネジメント活動にも取り組んでいます。
さらに「自律分散型都市構造」の実現を目指し、地域課題の解決をテーマにした起業や社会活動への参加につなげる支援や、「働く場」の創出、企業活動との連携などの取り組みを進めています。
2021年度には青葉台郵便局の空き区画を活用した会員制の地域交流拠点、働く場「スプラス青葉台」を開業しました。2012年から取り組んだ10年間の活動成果を踏まえ、今後は「田園都市で暮らす、働く、楽しむ」をテーマに自由で豊かな新しいライフスタイルの実現を推進します。
※住まいから歩ける範囲内に暮らしに必要な機能が整い、誰もが安心して住み続けることができるまちの姿
廃材処理時のCO2削減に向けて、池上線池上駅改良工事で確保した古材「えきもく」を駅および沿線で活用する取り組み。工事前に設置していたホームベンチの復活や「えきもく」を使用した椅子作成ワークショップなど、古材を通じてこれまで駅を利用してきた方や地域の皆さまと育んできた歴史ある木造駅の記憶を未来とつなげるイベントを実施しています。
なお「えきもく」の一部は、国産古材の収集・加工・販売を行う古材日和グループのノウハウを活用して、2024年10月までの期間、「ステーションウッド」という商品名で販売する実証実験を行っています。
新横浜線の待合室において、壁面などの内装材にえきもくや、相模鉄道のレンガ、JR東海の東海道新幹線再生アルミなど各社の歴史を象徴する素材を活用しています。
街のコミュニティ形成拠点として大井町エリアに開業したカフェの内装にえきもくや、東急線車両の座席の一部や手すりといった廃棄部材などを活用しています。
休館中の「電車とバスの博物館B棟」を活用したシェアオフィスに、えきもくを活用して製作した机や椅子、備品などを設置しました。
旧池上駅の記憶を継承し、新しくなった池上駅の駅ビルのさまざまな場所に、えきもくを活用した家具やモニュメント等を設置しました。
豊かな緑に囲まれ、人にやさしく、多世代が元気に暮らせるまちづくりの実現に向けて、「駅前施設・病院・公園」が一体となった新たなまちづくりに取り組むため、横浜市、昭和大学とまちづくり推進に関する協定を2018年10月に締結しました。
この協定の締結により、横浜市・当社・昭和大学の三者が連携して、老朽化した駅前施設や、耐震化・医療の高度化に向けた再整備が必要な昭和大学藤が丘病院などの機能更新や、対象地域の道路・公園・駅前広場などの都市基盤施設を含めた魅力ある空間形成に向けた計画づくりに取り組んでいます。
2020年度は「計画の具体化」を行う段階とし、この協定による検討状況の取りまとめとして、横浜市・当社・昭和大学の三者は、地域の方々のご意見を伺いながら策定を進めている「藤が丘駅前地区再整備基本計画(素案)」を2020年4月に公表しました。2023年度以降は「具体的な事業の実施」を目標に、検討を進めていきます。