当社は創業以来、理想的な生活環境の創造に向け、公共交通整備と都市開発を両輪とした「まちづくり」を地域と共に進めてきました。まちづくりにおいて大切にしてきたもの、それは「人と街と環境の調和」であり、地域や社会と共に取り組む、SDGsを実現するまちづくりです。皆さまと共に環境と調和する持続可能なまちづくりを推進していきます。
2022年3月、当社および連結子会社は、誰もが持続可能な社会と地域環境の再生に貢献できるまちづくりを目指す「環境ビジョン2030」を策定しました。
脱炭素社会・循環型社会に向けた取り組み目標を掲げ、今後も積極的に取り組んでまいります。
2023年9月、東急バス、東京都市大学、株式会社ユーグレナは、東京都が公募する「バイオ燃料活用における事業化促進支援事業」の事業者に選定されました。
当社と町田市が連携・共同し推進する南町田拠点創出まちづくりプロジェクトのエリアである「南町田グランベリーパーク」が、官民連携による“新しい暮らしの拠点”の創出を通じた持続可能な未来のための地域循環共生圏の実現に向けた取り組みであることを評価され、第31回「地球環境大賞」で大賞(グランプリ)を受賞しました。
同賞での、当社の大賞受賞は、第25回(「豊かな自然と調和する持続可能なまちづくり -二子玉川ライズ-」)に続き2度目となります。
以下に「環境ビジョン2030」で明文化した取り組み目標に向けて、当社およびグループ各社がこれまでに実施した取り組みをご紹介します。
脱炭素社会の実現に貢献するべく、各事業において省エネルギーのさらなる推進と再生可能エネルギーを活用した取り組みを行っています。
2022年4月1日より東急線全路線は実質CO2排出ゼロの再生可能エネルギー由来の電力100%で運行しています。鉄軌道全路線を再生可能エネルギー由来の電力100%にて運行するのは日本初の取り組みです。
世田谷線では、2019年3月25日(電気記念日)から再生可能エネルギー100%電力での運行を開始しており、その後、東横線をはじめとした鉄道7路線で使用する電力に対象を拡大しました。また、2023年3月18日開業の東急新横浜線も加わり、鉄道8路線および世田谷線は東京電力エナジーパートナー社の再エネ電力メニュー※により、CO2排出量が実質的にゼロとなりました。
※ RE100に対応したトラッキング付非化石証書活用によるメニュー
関連リリース(日本初、鉄軌道全路線を再生可能エネルギー由来の電力100%にて運行)
この取り組みは、2023 年 12 月、環境省主催「気候変動アクション環境大臣表彰」において、先進導入・積極実践部門の緩和分野で環境大臣表彰を受賞しました。
当社、東急レクリエーション、東急モールズデベロップメント、東急プロパティマネジメント、東急パワーサプライの5社は、複合施設「渋谷ストリーム」「南町田グランベリーパーク」「東急歌舞伎町タワー」で使用する電力を再生可能エネルギー(再エネ)とするにあたり、大阪ガス株式会社、GPSSホールディングス株式会社と、太陽光発電に関するオフサイトコーポレートPPAモデル※を構築。大阪ガスとGPSSホールディングスが出資したGDsPJ合同会社が新設した太陽光発電所からの再エネ電力を、上記の3施設に順次供給します。GDsPJ社の発電量は全国8カ所の発電所合計で約9,000kW、上記3施設の再エネ導入によるCO2排出削減量合計は24,000tに上ります。エネルギー価格の高騰など再エネ導入のハードルが上がる中、関係各社の密な連携とパートナーシップを通じ、安価かつ安定的な再エネ調達を実現します。
渋谷・東急線沿線・新規事業における象徴的な3施設で、発電所の創設により環境負荷を低減するというこの取り組みは、「地球環境と共存する都市」へと進化する東急のまちづくりに寄与しています。
※オフサイトコーポレートPPAモデル:場所の離れた発電所から需要場所へ送配電系統を通じて電気を供給することを前提に、発電事業者・小売電気事業者・需要家が長期・固定価格で電力購入契約を結ぶ、電力供給・調達方法
関連リリース(コーポレートPPA による太陽光発電所の開発と再エネ電力活用の取り組み)
■この取り組みをはじめ、さまざまな業界と協働する主体的な取り組みを進めています。
(2024年2月08日)東急(株)グループと三菱HCキャピタルグループがPPAを活用した再生可能エネルギー発電に関する事業を開始
東急電鉄では、「人と環境にやさしい車両」をコンセプトとし、バリアフリー対応や車内の利便性や快適性を向上させた車両「5000系」「6000系」「7000系」の導入を進めてきました。2018年3月には、さらに進化させた新型車両「2020系」を田園都市線に、「6020系」を大井町線にそれぞれ導入。2019年11月には、「3020系」を目黒線に導入しました。
新型車両(2020系、6020系、3020系)には、低騒音型の主電動機や駆動装置を採用し、沿線環境・車外の騒音を旧型車両(8500系)と比べ約10dB低減。また、次世代半導体素子を用いた制御装置による主電動機の高効率駆動や、車内全照明と前照灯・尾灯へのLED灯採用により、使用電力を旧型車両と比べ約50%削減しています。その他、「ナノイー※」方式の空気清浄機やハイバック仕様の座席を採用するなど快適性も向上させています。
※ナノイーは、パナソニックの商標です。
東横線・目黒線元住吉駅では、太陽光の自然エネルギーを利用するため、ホームの屋根部分とコンコースの上部に太陽光発電システムを導入しています。発電能力は定格出力140kWであり、このシステムにより2022年度は約8.6万kWhを発電、元住吉駅の電力使用量の約10%を賄っています。他にも、雨水の再利用や改札口正面スペースの緑化なども行っています。
元住吉駅の他、大井町線上野毛駅にも発電能力10kW(定格出力)の太陽光発電システムを設置しています。
ベトナム社会主義共和国にて事業展開を進めるベカメックス東急は、「東急多摩田園都市」のまちづくりノウハウを生かし、ベトナム・ビンズン省のビンズン新都市において、人と環境にやさしい持続可能なまちづくりに取り組んでいます。
新都市の玄関口にある「SORA gardens」エリアでは開発コンセプトであるガーデンを空中庭園や壁面緑化により表現した他、住民が憩える緑豊かなGreenwayを設置。戸建住宅エリアの「MIDORI PARK」では、四季折々の花や水景を、高品質な住環境とともに整備しています。飲食を中心とした「Hikari」商業エリアでは、太陽光発電の導入のみならず、コンポストやアクアポニクスなどの循環型社会への取り組みも進めています。
ベカメックス東急の100%子会社、ベカメックス東急バスは、交通渋滞や大気汚染が深刻なベトナムで、バイクや自動車から公共交通機関に転換する「モーダルシフト」を進めるため、日本で培ったバス運行のノウハウを生かして、気軽に利用できる路線バス網の整備などに取り組んでいます。同社では環境負荷軽減のため天然ガス(CNGガス)を燃料とする路線バスを運行しています。天然ガス車両は従来のディーゼル車に比べ環境負荷を大きく減らすことができます。
循環型社会の実現を目指して、各事業の全ての段階において資源の有効利用を図り、温室効果ガス排出を低減する取り組みを行っています。
ながの東急百貨店は、地域のさまざまなモノ・人・事業者との取り組みを拡大させていく試み「地域プラットフォーマー」事業の一環として、エコを切り口とした企画「hug・ecoプロジェクト」に取り組んでいます。その中で、長野市内の服飾系専門学校「岡学園トータルデザインアカデミー」と協業した衣料品アップサイクルイベントを実施しました。
お客さまから今は使っていない「思い出の一着」を募り、集まった品と、ながの東急百貨店が提供した懸垂幕などを、岡学園の生徒たちに別の衣料や雑貨にアップサイクルしていただきました。さらに、インスタライブで販売商品の紹介をするなどの準備を進めた上で、ながの東急百貨店の正面広場で、完成した品物100点の展示・販売会を実施。多くの方にご来場いただきました。ゴミ排出量の削減につながる独創的な企画として地元メディアに取り上げられ、多くの反響をいただきました。
2019年11月に開業した大規模複合施設「渋谷スクランブルスクエア」では、水資源の有効活用と下水道施設への負荷低減を目的に水利用の低減につながる水資源に配慮した取り組みを行っています。
店舗厨房排水や雑排水は、建物の地下6階に設置した中水設備によって、微生物などで分解した後、活性炭で浄化しています。浄化した水はトイレの洗浄水として再利用することで、水資源の有効活用と下水道施設への負荷低減を実現しています。
他にも、屋上への太陽光パネルの設置やビル南側側面への壁面緑化によるCO2排出量の抑制、周辺施設と熱源(冷熱・温熱)の相互利用を可能とするなど、ビル単体での取り組みにとどまらず、渋谷駅周辺エリア全体のエネルギー最適化を目指しています。
東急ストアでは、厨房に新たな節水機器を導入することで水道使用量が低減し、CO2の削減を図ることができました。水と空気の混合によって水泡となった水を放出する際に、その量に変化を与え、汚れに連続して打ち付ける脈動流タイプの節水バルブは、頑固な汚れも粉砕する高い洗浄力を有しています。水圧・水量調節も可能で洗浄力を落とすことなく節水でき、メンテナンスのいらない継続性も利点です。
まず2017年に1店舗で49日間の設置実験を試み、節水効果を確認した後、2018年5月より84事業所の水産・デリカ部門の各厨房に導入しました。その結果、年間97,065㎥の水道使用量削減、33t-CO2削減を実現しました。これは、人工林のスギ約2,300本分の年間吸収量のCO2削減に相当します。
当社、宮古観光開発株式会社、東建産業株式会社は「環境ビジョン2030」で掲げるグループ連結の水資源使用量の10%削減目標を達成すべく、宮古島まいぱり熱帯果樹園で実証実験を実施しています。これは「まいぱり」施設内から排出される雑排水や汚水を既存排水浄化槽で処理した後、新たに導入した複合発酵技術で追加処理し、その水(再生水)を施設内のトイレの洗浄用水として循環利用する取り組みで、現在、施設の上水使用量を約30%削減することができています。
複合発酵は、塩素などの化学薬品を一切使用せず汚水等を、環境基準を満たす水質まで浄化できるだけでなく、水浄化の過程で問題になる悪臭や汚泥の発生も抑制できます。再生水を農業用液肥として利用することで、水資源を地下ダムや地下水のみに頼る宮古島の土壌や海洋環境の改善、生物多様性の保全にもつながるものとして期待されています。
地下にある駅は、換気・空調設備による消費電力が駅全体の消費電力の約80%を占めています。そのため、換気・空調に関する取り組みが駅全体の消費エネルギーに大きく影響します。そこで、地下5階の大規模な駅である渋谷駅では、駅直結の商業施設「渋谷ヒカリエ」と一体となって行う大規模自然換気システムを採用し、大幅な省エネルギー化を実現しています。他にも、ホームの床下や天井には冷却チューブを設置し冷水を循環させる「放射冷房方式」も採用しています。
このような、機械に頼らない自然換気システムと放射冷房方式などにより、同等の広さの通常冷房装置の建物に比べて、2023年度は年間で約294万kWhの電力量が削減され、CO2に換算すると約1,632tの排出量削減効果となりました。
さらに、渋谷ヒカリエでは、夜間の外気の取り入れにより空調の消費エネルギーを減らす「夜間換気(ナイトパージ)」や、屋上や外構の緑化も行っています。
2018年6月に開業した「川崎キングスカイフロント東急REIホテル」は、使用済みプラスチック由来の水素を電気やお湯として活用する、世界初の水素ホテルです。活用方法はそれだけにとどまらず、ロビーで水素エネルギー由来の電気を活用したレタスの水耕栽培を実施し、収穫したレタスをブッフェで提供しています。他に、食品廃棄物をバイオマス発電の原料として発電施設に提供することで、リサイクル率100%を達成。さらに、発電した電気を売電会社を通じて買い戻しホテルで活用する、循環型の仕組みを構築しました。その他の電力には100%再生可能エネルギープラン「ゼロエミプラン®」※を導入することで、総電力の3割を水素エネルギー、7割を再生可能エネルギーで賄う、電力CO2フリーホテルが実現しました。CO2削減量は年間約419t(杉の木約47,600本分に相当)で脱炭素・循環型社会の実現に貢献しています。
※FIT電気を電源とし、非化石証書やJクレジットを用いて、実質再生可能エネルギー 100%を実現する環境重視型の電力供給プラン。
2022年4月、事業者のプラスチック削減の取り組み強化に向けた「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)」が施行されました。それを受けて東急ストアでは、店舗で無料配布しているプラスチックカトラリー類(スプーン、フォーク、ストローなど)の削減を検討。全店舗で木製、紙製のカトラリーに切り替え、年間で21.1tのプラスチック削減を実現して、環境保護に大きく貢献しました。素材変更後のカトラリー類は、持続可能な森林活用・保全を目的として適切に管理された森林から生産された製品であるため、森林保護にもつながります。
事前の啓蒙活動としてホームページや店頭でのポスター掲示などを実施し、お客さまから好意的なご意見を多数いただきました。
1962年に日本の鉄道で初めての「オールステンレス車両」として登場した旧7000系は、2000年に東急線を引退した後、弘南鉄道(青森県)、北陸鉄道(石川県)、水間鉄道(大阪府)に譲渡し現在も活躍しています。車両解体によるリサイクルに比べて、環境負荷が少なく、譲渡先の鉄道各社にとっても、低コストで車両を更新することができます。
また1987年に旧7000系を改造して生まれた7700系も、2018年11月に東急線から引退し、養老鉄道(岐阜県・三重県)へ譲渡しました。外観デザインを変更し、3両編成の中間車両の一部にクロスシートを設置するなど、養老鉄道向けに改造された後、試運転を終えて2019年4月から営業運転を開始。以降約30年間、養老鉄道で走り続ける予定です。
商業施設・オフィス・ホテル・住宅街区からなる複合施設「二子玉川ライズ」では、子どもたちと地球の未来のために、環境へ配慮しながら人が主役の安心・安全なまちづくりを行っています。
エリア全体の建物や道路などのインフラ設備において、省エネ機器や再生可能エネルギーを採用し、エネルギー、CO2排出の削減に取り組んでいます。田園都市線や大井町線、各種バスとの良好な交通アクセス網を確保し、商業やオフィス、公共施設、住宅を集積させた高密度でコンパクトな複合機能都市を整備しています。また、屋上には「エコミュージアム」として設計した屋上庭園を配置しました。多摩川と国分寺崖線を結ぶ拠点となるよう計画したことで、生物ネットワークの基盤を構築。生物多様性の実現を図ることで昆虫や鳥類の飛来数も増え、カルガモの抱卵なども見られるようになりました。
このような取り組みが評価され、2015年に世界初となる国際的な環境認証制度「LEED ND(まちづくり部門)」のゴールド認証※1を取得しました。認証取得は、さまざまな反響を呼び、国内外から環境や建築関係者の視察が急増。「産業の発展と地球環境の共生」を目指すフジサンケイグループ主催の「第25回地球環境大賞(グランプリ)」※2にもつながりました。
「二子玉川ライズ」は、多摩川の生態系を維持・保全する取り組みが評価され、生物多様性を高める事業を評価する国内第三者制度「JHEP(ハビタット評価認定制度)」の最高ランクAAAを取得しています。
※1 米国グリーンビルディング協会(USGBC)が提供するLEED®は、高性能のグリーンビルディングの設計、建設、維持管理に貢献する評価・認証プログラムです。LEED®およびそのロゴはUSGBCの登録商標であり、使用には許可が必要です。
※2 地球環境大賞。「産業の発展と地球環境との共生」を目指して創設された企業、行政、市民が一体となった顕彰制度。
脱炭素社会や循環型社会を実現するべく、パートナーシップとコミュニティーを形成し、「点」ではなく、協働による「面」での課題解決に取り組んでいます。
当社と東急パワーサプライは、事業パートナーである川崎市とNTTアノードエナジー株式会社、金融機関パートナーである川崎信用金庫、セレサ川崎農業協同組合、株式会社きらぼし銀行、株式会社横浜銀行の計6社とともに、「川崎未来エナジー株式会社」を設立し、2024年4月より事業を開始しました。
川崎未来エナジーは、川崎市処理センターで発電されたゴミ由来の電力を市内公共施設や民間施設に供給し、地域自立型の脱炭素化及び再生可能エネルギーの地産地消を進めるとともに、市民、事業者、金融機関等の多様なステークホルダーが参画できる地域エネルギープラットフォームの中核となることを目指します。
当社と東急電鉄が町田市と連携・共同して、駅・商業施設・都市公園を一体的に再整備し2019年にまちびらきした「南町田グランベリーパーク」は、「まちのぜんぶが “パーク”となる」をコンセプトとした、にぎわいと緑の融合を生かしたオープンスペースが連続するシームレスなまちです。
エリア全体で浸透性舗装やバイオスウェルを採用することで、雨水の一部が地中に還元する仕組みを整え、グリーンインフラ※1を活用した雨水管理を行っています。
このような取り組みが評価され、国際的な環境認証制度「LEED ND(まちづくり部門)」のゴールド認証※2を取得しました。認証エリア内に駅を含むゴールド認証取得は日本初となりました。
他にも、商業施設「グランベリーパーク」の外構部に花や実のなる樹木などを植栽することで、鳥や昆虫類の生息を促し、自然とにぎわいとの融合を目指しています。
※1 自然環境が有する機能を活用し、社会基盤整備や国土管理を行うこと。
※2 米国グリーンビルディング協会(USGBC)が提供するLEED®は、高性能のグリーンビルディングの設計、建設、維持管理に貢献する評価・認証プログラムです。LEED®およびそのロゴはUSGBCの登録商標であり、使用には許可が必要です。
池上線池上駅は、その歴史ある木造駅舎で長年利用者に親しまれてきましたが、駅構内に存在する踏切を解消し、安全性確保と線路による街の分断の解消に向け、駅舎改良工事と商業施設「エトモ池上」を有する駅ビル開発を行いました。この工事では、旧駅舎と門前町の「記憶」を受け継ぎ発展させるため、木材の使用にこだわった温かみのある空間づくりを実現しました。多摩産材を多く使い、施設全体で14t-CO₂の炭素貯蔵量を確保した他、旧駅舎の古材「えきもく」を再活用する「みんなのえきもくプロジェクト」を実施しました。
このプロジェクトでは、近隣の方への「えきもくベンチキット」の配布などを行いました。関係各者に理念を共感していただき、地域と共にプロジェクトを遂行することで、街なかに旧駅舎を思わせる木製ベンチが点在し、地域の一体感も醸成することができました。
東急パワーサプライは世田谷区用賀にオフィスを構えているご縁で、地元の世田谷区の他、当社同様に区内で事業を展開する東急グループ施設・企業と連携し、再生可能エネルギーの地産地消に取り組んでいます。
具体的には区が保有する「世田谷区みうら太陽光発電所」で発電された再生可能エネルギー電力を、身近な交通インフラである東急バスの停留所※や都内でも有数の複合施設である二子玉川ライズ(二子玉川)、文化芸術の発信拠点である五島美術館(上野毛)に供給しています。
これにより、CO₂排出量換算で年間約245tが削減されるだけでなく、脱炭素社会に向けて環境社会の到来と再エネの活用を皆さまに暮らしの中で実感していただける、官民連携での取り組みとなっています。
さらに、東急パワーサプライ、東急バス、五島美術館の3者は、区民・事業者・区が三位一体となって再生可能エネルギーの利用拡大を目的として世田谷区が制定した「せたがや版RE100」にも参画しています。
※世田谷区内に所在する50か所が対象。
「二子玉川ライズ」は施設屋上に、多摩川の水辺から、国分寺崖線、等々力渓谷の緑をつなぐ生物ネットワークを構築した多種多様な生き物や植物が生息し、地域の生態系を維持・保存する「ルーフガーデン」を設置しています。約6,000㎡ の広大な屋上緑化施設は、地域住民や施設利用者の“憩いの場”で あるだけでなく、さまざまなイベントを通した“学びの場”としての 役割も果たしています。
野菜の種蒔きや収穫をする菜園体験イベントでは、子どもたちに身近な野菜の生育過程を学ぶ機会を提供し「食育」に貢献。ビオトープ「めだかの池」で生き物を採集・調査するイベントや、絶滅危惧種の植物「カワラノギク」の観察イベントでは、観察調査・スケッチ・工作などの他、多摩川に生息する生物・植物について専門家がレクチャーを行い、地域の環境を深く学ぶ時間を提供しています。
2023年9月、東急バス、東京都市大学、株式会社ユーグレナは、東京都が公募する「バイオ燃料活用における事業化促進支援事業」の事業者に選定されました。これは、環境負荷の少ないバイオ燃料(バイオディーゼル、SAF等)を活用した車両・船舶・航空機等の事業化に向けた取り組みを、東京都が支援するものです。
3者は産学連携の協働により、バイオ燃料を活用して東急バスの路線バス 150両の運行を実施するとともに、「環境に関する利用者負担」の在り方を調査することで、環境負荷が少ない公共交通機関の普及に向けた制度を検討していきます。
バスをご利用のお客さまをはじめ、一人でも多くの方に、バイオ燃料を使用したサステナブルな取り組みを知っていただけるよう取り組んでいきます。
2023年2月11日、学校法人桐蔭学園、当社、東急電鉄、横浜市の4者は、ペロブスカイト太陽電池(以下、同電池)の先行実証実験を田園都市線青葉台駅正面改札口前の自由通路で実施しました。この実験は「nexus(ネクサス)構想」の一環として桐蔭学園、当社、東急電鉄の3者が締結した「教育」 と「エネルギー」における相互連携に関する協定、並びに横浜市と桐蔭学園の2者が締結した「脱炭素社会の構築及び持続可能で魅力ある暮らしづくりの推進に関する協定」に基づく取り組みです。大面積(703㎝²)のフィルム型ペロブスカイト太陽電池を用い、東芝エネルギーシステムズ株式会社の協力で実施された実験の結果は、各者の保有する資産(既存建物、駅、車両、高架橋など)への設置など、将来の活用方法の検討に生かしていきます。
同日、青葉台駅から徒歩3分に位置する地域交流拠点・スプラス青葉台で開催された「田園都市からはじめるゼロカーボンフェスタ」で、地域の方々に同電池に触れていただく場を設けました。
今後も、同電池実用化の状況を踏まえながら4者で連携していきます。