当社および連結子会社では、水資源は生物の存在に不可欠な貴重な資源の一つで、世界ではその不足が深刻化し、国内においても地域によっては安定・安全な水の確保にリスクが存在することを認識し、各事業エリア固有の状況に応じた使用総量の削減や使用方法に適した再生水の活用、適切な排水処理を行い、水資源の保全に取り組みます。
当社では、「環境ビジョン2030」に掲げる長期環境目標として、循環型社会の実現に向けては「ゼロ・ウェイスト社会に向け、顧客接点の多い事業特性を生かして資源循環・循環経済の輪に加わり、輪を広げる」として、2030年までに水使用量の収益原単位を10%削減(2019年度比)する目標を掲げています。なお、直近3年間の水使用量と収益原単位は以下のとおりです。
単位 | 2030年 目標 |
2019年度 (基準年) |
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
水使用量 | 千m³ | ー | 8,497 | 6,013 | 6,969 | 7,061 |
営業収益 | 億円 | ー | 9,965 | 7,926 | 8,791 | 9,313 |
収益原単位 | 千m³/億円 | ー | 0.85 | 0.76 | 0.79 | 0.76 |
対基準年削減率 | % | 10%削減 | ー | -10.6% | -7.1% | -10.6% |
当社および連結子会社における環境情報データは、下記ページにて開示しています。
当社では、水使用量の削減目標の達成へ向けて、「環境方針」および「環境ビジョン2030」 を踏まえた社内向け実務ガイドラインである「環境ビジョンガイドライン」を作成・公開し、節水や水資源の有効活用への課題認識を深めています。取り組み目標や具体的なアクションの解説だけでなく、上水の節水や中水利用の促進など、水使用量削減に寄与する好事例を共有し、全社的な取り組みの徹底を働きかけています。
当社および宮古観光開発株式会社は「環境ビジョン2030」で掲げるグループ連結の水資源使用量の10%削減目標を達成すべく、宮古島まいぱり熱帯果樹園で実証実験を実施しています。
詳細は以下をご覧下さい。
東急ストアでは、厨房に新たな節水機器を導入することで水道使用量の低減に努めています。この取り組みは節水だけでなく、CO2排出量の削減にも貢献しています。詳細は以下をご覧下さい。
以下の施設では、井戸水の利用により上水道利用量の削減に努めています。
施設名:名古屋東急ホテル、京都東急ホテル、伊豆今井浜東急ホテル、たまプラーザテラス、東急中央林間ビル
以下の施設では、雨水の利用により上水道利用量の削減に努めています。
施設名:東急キャピトルタワー、セルリアンタワー、渋谷ストリーム、二子玉川ライズ、Bunkamura、渋谷スクランブルスクエア
2019年11月に開業した大規模複合施設「渋谷スクランブルスクエア」では、水資源の有効活用と下水道施設への負荷低減を目的に水利用の低減につながる水資源に配慮した取り組みを行っています。
詳細は以下をご覧下さい。
中水設備の完備による、水資源の有効活用 -渋谷スクランブルスクエア-
また、以下の施設でも中水の利用により、上水道利用量の削減に努めています。
施設名:JR東急目黒ビル、東急キャピトルタワー、セルリアンタワー、渋谷ストリーム、東急歌舞伎町タワー、東急博多ビル、渋谷ヒカリエ、二子玉川ライズ、Bunkamura、渋谷スクランブルスクエア、宮古島東急ホテル&リゾーツ
当社では、1974年、東急の事業地域の中心を流れる多摩川流域の環境浄化を図ることが企業としての重大な責務であると考え、多摩川の水質調査・研究者への研究費助成を行う「とうきゅう環境浄化財団」を設立しました。その後「とうきゅう環境財団」と改称し、水質に関するものだけでなく、多摩川流域の環境保全・改善に関する研究等に対して幅広く助成してきました。
なお、2019年に「東急環境財団」は「とうきゅう留学生奨学財団」「五島記念文化財団」と統合し「東急財団」となりました。今後も変わらず、多摩川流域の環境保全と共に、社会課題の解決に貢献してまいります。
当社では連結子会社を含む事業拠点における水ストレスレベルの高い地域を特定するために、WRI(世界資源研究所)が開発したWRI Aqueductツールを用いて、国内外全ての事業拠点の水ストレスレベルを定量化し、水ストレスの高い地域を特定しました。
水の全般リスクでは、大部分の事業拠点でMedium-high以上の水リスクレベルに該当はなく、当面は水リスクに大きな懸念はありませんが、水使用の効率化を図りつつ、モニタリングを継続しています。
水リスク (OVERALL RISK※1) |
拠点数 (水使用) |
割合 | 2022年度 | |
---|---|---|---|---|
取水量 | 排水量 | |||
0-1 Low | 42 | 5.3% | 266千m3 | 262千m3 |
1-2 Low-Medium | 755 | 94.4% | 6,676千m3 | 4,663千m3 |
2-3 Medium-High | 1 | 0.1% | 39千m3 | 0 |
3-4 High | 2 | 0.2% | 80千m3 | 0 |
4-5 Extremely high | 0 | 0.0% | 0 | 0 |
合計 | 800 | 100% | 7,061千m3 | 4,925千m3 |
※1 OVERALL RISK:水ストレス・枯渇・季節変動・河川洪水・干ばつ・未処理排水・衛生設備など各項目合算の全般リスク
WRI(世界資源研究所)が開発したWRI Aqueductツールを用いて特定した水ストレスレベルが高リスク(>40%)拠点と水使用量は以下の通りで、著しく高リスク(>80%)拠点はありませんでした。2022年度の取水量を100%とした場合、水ストレスレベルが高リスク拠点の取水量は全体の0.6%を占めます。
2022年度 | ||
---|---|---|
高リスク (40-80%) |
拠点数 | 2 |
水使用量(千m3) | 39 | |
著しく高リスク (>80%) |
拠点数 | 0 |
水使用量(千m3) | 0 |
「水ストレス」リスクが高い海外の2拠点(オーストラリア・ヤンチェップとタイ・シラチャ)の事業運営では、水利用の効率化を図るとともに、引き続き社外のステークホルダーと協議・対話を行い、適切な水利用に努めて参ります。
当社および連結子会社では、2022年度において水資源の利用、水質、使用量などに関する法規制や基準に抵触する違反はありませんでした。
当社における、水関連のリスクを軽減するための研究開発への投資は以下のとおりです。
2022年度:合計15百万円