当社は、グループ存在理念「美しい生活環境を創造し、調和ある社会と、一人ひとりの幸せを追求する。」の下、「東急グループコンプライアンス指針」「行動規範」および「人権・労働・環境・腐敗防止」の4分野で構成される「国連グローバル・コンパクトの10原則」に基づいて、人権尊重の取り組みを推進してまいりました。2018年3月には、取り組むべき社会課題として6つの「サステナビリティ重要テーマ(マテリアリティ)」を特定し、「ひとづくり」および「企業統治・コンプライアンス」のテーマでは、向き合う社会課題のひとつとして「人権の実現」に取り組んでいます。
2011年には、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択され、2020年には、わが国でも「『ビジネスと人権』に関する行動計画」が策定されるなど、企業の人権対応への取り組みの重要性がさらに高まっています。当社および連結子会社は、グループ理念に掲げる「企業の社会的責任」を全うすべく、人権尊重の責任を果たすことへのコミットメントとして「人権方針」を策定しました。なお、本方針は、当社の経営会議に付議・承認され、取締役会の承認を得て、取締役社長により署名されています。
今後も当社および連結子会社は、人権方針に基づき人権尊重に取り組むことにより、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を図ってまいります。
当社および連結子会社は、国連人権理事会で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権方針を定めています。
当社および連結子会社は、東急グループスローガンである「美しい時代へ―東急グループ」を普遍的な価値基準として、「美しい生活環境を創造し、調和ある社会と、一人ひとりの幸せを追求する。」を存在理念として掲げています。私たちは、持続可能な社会の実現に真に貢献していくために、自らの事業活動において影響を受けるすべての人々の人権が尊重されなければならないことを理解し、その責務を果たす指針として、「人権方針」(以下、本方針)をここに定め、人権尊重の取り組みを推進していきます。
(※)中核的労働基準である「児童労働の禁止」「強制労働の禁止」「差別の撤廃(人種、宗教、性別、年齢、性的指向、障害、国籍など)」「結社の自由・団体交渉権の承認」の支持・尊重を含みます。
2023年6月29日改定
2022年11月1日制定
東急株式会社
取締役社長
責任者 | 濵名 節(専務執行役員) (はまな せつ) |
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推進部署 | 経営企画室ESG推進グループ |
当社は、取締役会を経営および監督の最高機関と位置付けており、人権を含むサステナビリティに係る重要事項は、取締役会で決議・監督しています。また、サステナビリティへの取り組みを積極的に推進するため、サステナビリティ推進会議(議長:社長執行役員)の開催 や、連結各社への浸透、各種啓発活動など、全方位的な取り組みを実践しています。なお、当社のサステナビリティ推進体制については、以下をご参照ください。
当社および連結子会社は、2022年度より人権リスク評価を開始しました。自社の事業とそのサプライチェーン上について、交通事業、不動産事業、生活サービス事業、ホテル・リゾート事業、病院の5つの事業領域で発生しうる人権への負の影響(人権リスク※)を特定し、そのインパクトや重要度を分析・評価してします。
分析・評価に当たっては、外部専門家を起用し、当社および連結子会社の事業を対象にサプライチェーン上の人権について、国際機関やNGOが指摘するリスク、業界内のリスク顕在化事例、当社関係部署(主要関連会社)ヒアリング等から各事業における人権リスク(潜在・顕在)の全体像を把握した後スクリーニングを実施し、「深刻度(Severity)」と「発生可能性(Likelihood)」の観点から特に重要なリスクを以下の通り特定・評価しました。
※労働課題および安全衛生における事業別リスク分析を含む
当社および連結子会社で考慮すべき重要人権リスクとして特定した10項目の重要人権リスクは下記の表の通りです。
具体的には、全事業における「国内外サプライヤーの従業員に関わる深刻な形態の強制労働・奴隷労働、児童労働」、「自社及びテナント製品・サービス等による消費者の健康や安全の侵害」、不動産事業における「下請建設会社等内における安全・衛生の欠如、深刻な形態の強制労働・奴隷労働、児童労働」、ホテル・リゾート事業における「人身取引等への間接的な加担」を高リスク課題(最優先)と特定しました。併せて、病院を除く全事業における「自社サービス提供時の顧客(消費者)への差別的対応」、不動産事業や生活サービス事業及び病院における「個人情報流出によるプライバシーの権利侵害」、当社および連結子会社従業員における「従業員間でのパワーハラスメント、労働安全衛生、長時間労働、賃金未払い等」についても、考慮すべき重要人権リスクとして特定しました。
対象 | 関連事業領域 | ||||||||
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交通 | 不動産 | 生活 サービス |
ホテル・ リゾート |
病院 | 予防・是正に向けた対応(方針) | ||||
最優先 | 原材料等の サプライヤーの従業員 |
① 深刻な形態の強制労働・奴隷労働、児童労働 | ● | ● | ● | ● | ● |
【人権・サプライチェーンにおけるデュー・ディリジェンス実施】
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業務委託先等の従業員 | ② 下請建設会社等内における安全・衛生の欠如、深刻な形態の強制労働・奴隷労働、児童労働 | ● | |||||||
顧客・消費者 | ③ 健康や安全の侵害 | 自社製品・サービス等の欠陥による健康や安全の侵害 | ● | ● | ● | ● | ● |
<交通・病院>
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<不動産、生活サービス、ホテル・リゾート>
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テナント製品・サービス等の欠陥による健康や安全の侵害 | ● | ● |
【人権・サプライチェーンにおけるデュー・ディリジェンス実施】
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④ 人身取引等への間接的な加担 | ● |
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優先 | 当社および連結子会社従業員 | ⑤ 従業員間でのパワーハラスメント | ● | ● | ● | ● |
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⑥ 労働環境における安全・衛生の欠如 | ● | ● | ● | ● | |||||
⑦ 長時間労働・過重労働 | ● | ● | ● | ||||||
⑧ 賃金の不足・未払い | ● | ● | ● | ||||||
顧客・消費者 | ⑨ 自社サービス提供時の顧客(消費者)への差別的対応 | ● | ● | ● | ● |
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⑩ 個人情報流出によるプライバシー侵害 | 自社によるプライバシー侵害 | ● | ● |
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テナントによるプライバシー侵害 | ● |
【人権・サプライチェーンにおけるデュー・ディリジェンス実施】
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※関連事業領域の●は、特に注意すべき事業領域に付いています。●が付いていない事業領域においても、同様に取り組む必要があります。
※深刻度は、「インシデントが発生した際の被害の重篤度・範囲等」により、発生可能性は「潜在因子(業界事例、社内ヒアリング等)と顕在因子(社内ヒアリング等より社内におけるトラブルないし懸念の確認等)」により評価しています。
今後、人権デュー・ディリジェンスを実施するにあたり、当社および連結子会社のお取引先さまに対し各種方針を周知し、アンケートやヒアリングの実施を通じて潜在的なリスクの特定・調査を行い、その結果を開示、そして改善に取り組むというサイクルを回しながら、取り組みの深化を進めてまいります。
上記人権方針を遵守し、企業が社会から求められている責任を私たちと共に果たしていただけるお取引先さまとのお取引を推進してまいります。また、継続してお取引しているお取引先さまに対しては、当社の人権方針を反映した調達方針についての遵守状況を定期的に確認し、必要に応じて改善の働きかけを行います。
人権方針の策定に際して、社内理解促進と意見集約のため、部門総括課長を対象に人権方針策定のための研修・ワークショップを実施しました。実施に際しては、特定非営利活動法人経済人コー円卓会議日本委員会にご協力いただき、「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとした「ビジネスと人権」への理解を深めるためのご講演をいただきました。また、当社の人権方針が備えるべき要素の抽出として、参加者に当社が既に取り組んでいる、また今後取り組むべき人権課題について検討・対話するワークショップも併せて行いました。このワークショップ参加者の議論の内容は、人権方針の策定にあたり活用しています。
当社新入社員に向け、人権に関する教育・研修を実施し、理解促進に努めています。
2022年7月には、当社常勤役員および連結子会社の代表取締役を対象として「ビジネスと人権」の啓発のためのサステナビリティセミナー「『ビジネスと人権』新たな企業価値を求めて取り組むべきこと」を実施しました。
特定非営利活動法人経済人コー円卓会議日本委員会より講師をお迎えし、「ビジネスと人権」において当社および連結子会社が取り組むべき事をテーマに、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとした世界の潮流から、グループ理念や当社のDNAを踏まえて、「変えてはいけないこと」「変わらなくてはいけないこと」についてご講演いただきました。
当社では、内部通報窓口を設置しています。社内のほかに弁護士事務所にも窓口があり、当社および連結子会社の従業員(取引先を含む)などからの通報・相談に対応しています。
また、お客さまからのご意見・ご相談は東急お客さまセンターにて対応しています。
東急および連結子会社は、事業活動において影響を受けるすべての人々の人権尊重のための「人権方針」を定めています。この人権尊重にはお客さまにサービス・商品を提供する従業員が心身共に健康であり、安心して働ける職場環境の整備も重要なことと考えています。
さらに、「東急グループコンプライアンス指針」および「行動規範」に則り、お客さまをはじめ関係者の皆さまの信頼や期待に応え、お客さまに寄り添ったサービスの提供を心掛けていますが、時には一部のお客さまから、威圧的・精神的・拘束的な言動、社会常識の範囲を超える過剰な要求、およびセクシャルハラスメントなどを受けることがあります。従業員が安心してお客さまへのサービスを維持・向上し提供できるよう、「カスタマーハラスメントに対する方針」を定め、共通の方針として位置付けております。