特に関連するターゲット:
- 11.2 持続可能な輸送システム
- 11.3 包摂的、持続可能な都市化
- 11.7 緑地や公共スペースへアクセス
当社グループのまちづくりは、当社の源流である田園都市株式会社が手掛けた田園調布・洗足の開発に始まります。田園調布株式会社のまちづくりは、単なる宅地開発ではなく、都心への人口集中に起因する社会課題を、緑豊かな郊外での暮らしを提案することで、解決に導くものでした。また、その後の東急多摩田園都市の開発などにおいても、街の社会課題に向き合い、交通をはじめとした生活インフラやサービスと一体となったまちづくりを進めてきました。その歴史の中で育んできた「沿線で築き上げた信頼と連携ノウハウ」「交通・開発・生活サービス一体の住み続けたい街づくり」「長期視点での面的開発」などの強みを活かし、SDGsにも通じるサステナブルな街づくりを進めています。
職住近接を実現した複合型開発「二子玉川ライズ」
都市が持続的に発展するためには、価値観やライフスタイルの多様化に対応し、人を惹きつける個性的・魅力的な街が連なる都市構造の実現が欠かせません。その実現には、それぞれの都市・街が有する独自の資源を最大限に生かして魅力を高めると同時に、「職住遊」機能を持たせること、そして地域から生まれる経済が地域内で循環する状況を作ることが重要です。
二子玉川ライズは、田園都市線・大井町線二子玉川駅周辺において、「水と緑と光の豊かな自然環境と調和した街づくりを行い、日本一働きたい街を目指す」をコンセプトとした再開発プロジェクトです。「働く」機能として大規模オフィスを誘致し、街の就業者数を約1万人増加させるとともに、「訪れる」機能として日本初上陸の店舗や、最新設備を備えた世田谷区初のシネマコンプレックスの導入などを行った二子玉川ライズ・ショッピングセンター、「住む」機能として東急不動産と共同で42階建ての「タワーイースト棟」を中心に5棟(1,033戸)を建設した二子玉川ライズ タワー&レジデンスなど「職住遊」機能を備え、商業やオフィス、公共施設、住宅を集積させた高密度でコンパクトな複合機能都市を整備しています。また、エリア全体の建物や道路などのインフラ設備において、省エネ機器や再生可能エネルギーを採用し、エネルギー、CO₂排出の削減にも取り組んでおり、このような取り組みが評価され、2015年に世界初となる国際的な環境認証制度「LEED ND(まちづくり部門)」のゴールド認証を取得しました。なお、二子玉川ライズでは、多摩川などの自然環境を生かした生物ネットワークの構築にも貢献しています。生物多様性に関する取り組みについては、「15番:陸の豊かさも守ろう」をご覧ください。
官民連携による駅・商業施設・公園が一体となった「南町田グランベリーパーク」
南町田グランベリーパークは、「まちのぜんぶが”パーク”となる」をコンセプトに、町田市との連携により、駅から商業施設、公園、周辺地域までがシームレスに繋がる歩行者ネットワークを整備し、自然とにぎわいの融合を目指して再編したまちです。田園都市線南町田駅は、隣接する商業施設「グランベリーパーク」や鶴舞公園と融合した開放的な駅空間にリニューアルし、エスカレーターやホームドアを設 置し、安全性と利便性の向上を図るとともに、駅名も「南町田グランベリーパーク駅」に改称のうえ、急行停車駅となりました。
また、駅構内における効率的な雨水の再利用やグリーンインフラを生かしたランドスケープデザインなど、環境や気候変動に配慮した取り組みが評価を受け、国際的な環境認証制度「LEED NC(新築部門)」 「LEED ND(まちづくり部門)」の、ゴールド認証を取得しました。駅舎建築物としてのゴールド認証の取得、駅舎を含む開発エリアのゴールド認証の取得ともに、国内初です。なお、気候変動に関する取り組みについては、「13番:気候変動に具体的な対策を」をご覧ください。
「nexus構想」
当社は、多摩田園都市エリアにおいて、生活者起点で取り組む新しいまちづくり「nexus構想」を掲げています。「nexus(ネクサス)」とは、つながり・連鎖を意味しており、企業や行政との協働により、循環型のコミュニティや地域ネットワークを構築し、生活者一人ひとりの自由で豊かな暮らしを実現するための活動に取り組みます。本構想では、東急線沿線郊外の多摩田園都市をnexus構想エリアと位置づけ、住む・学ぶ・働く・遊ぶといった生活が自然や農と融合する、「歩きたくなるまち」への進化を目指します。
本構想の第1弾として、様々な実証実験に取り組む拠点となる「nexusチャレンジパーク早野」を2022年4月に開業しました。
今後さらに、エネルギー、資源循環、モビリティ、ウェルネス、教育、農と食といったサステナブルテーマを定め、実証実験や事業化を段階的に展開していきます。
公的不動産を活用した価値創造
当社は、国や地方自治体との連携により、公園などの公的不動産を活用した事業を通じた、当該不動産およびエリアの価値や社会価値の創造に取り組んでいます。
当社を代表企業とする「しぶきたパートナーズ」は、渋谷区初のPark-PFI事業「渋谷区立北谷公園」の指定管理者に決定され、2021年4月に開園ならびにカフェを開業しました。従前は、自転車やバイクの駐輪、短時間の休憩利用が主だった北谷公園ですが、今後は、植栽や公園施設の維持管理を行い、日常的な憩いの場として安全安心な公園環境を提供するとともに、公園の情報発信、イベント企画・誘致など公共空間運営を含めたトータルマネジメントを実施します。
また、当社および東急グループ企業の東急不動産、石勝エクステリア、東急コミュニティーは、東京都が実施するPark-PFI事業「代々木公園整備・管理運営事業」の認定計画提出者に決定し、2022年5月より既存建物の解体工事に着手しました。緑溢れる既存の代々木公園や、これまでも様々なムーブメントが生まれてきた渋谷・原宿に隣接する立地特性をふまえ、憩いの緑と活動の場や、来園者が互いに影響し、感性を刺激しあう多様な舞台を整備することで、来園者が自分らしく輝くことができる公園づくりを目指します。供用開始は、2024年春の予定です。
これらPark-PFI事業では、当社の長年のまちづくりのノウハウを活かし、コンソーシアムを通じて公共施設などの建設、維持管理、運営を実施するとともに、敷地の一部を賃借し、公園と一体となった不動産賃貸事業を行うもので、効率的かつ効果的な社会インフラの整備・運営に貢献します。
Park-PFI事業以外でも、当社は官民連携により、環境と調和するまちづくりを推進しており、公園などの緑に囲まれた公共スペースの整備は、サステナブルな街づくりの重要な要素でもあり、この2件の事業は、東急グループが推し進める広域渋谷圏の面的な街づくりにも通じてきます。官民連携や緑地・公共スペースへのアクセスの確保を通じて複数のSDGsターゲットに貢献するとともに、「職住遊」がそろったまちづくりを進めていきます。