Sustainability サステナビリティ

つくる責任つかう責任


つくる責任つかう責任​

鉄道施設の古材を再活用「みんなのえきもくプロジェクト」

特に関連するターゲット:

  • 12.2 天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用
  • 12.5 廃棄物の発生を大幅に削減

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • まちづくり
  • 脱炭素・循環型社会

古い駅の材料も生かすえきもくプロジェクト

「みんなのえきもくプロジェクト」は廃材処理時のCO₂と廃棄物の削減に向け、工事で発生した「えきもく(旧駅舎の古材)を再活用する取り組みです。このプロジェクトは、池上線を中心とした木造駅舎のリニューアルに際し、ご利用になるお客さまや周辺住民の皆さまのご意見を参考にするとともに、東京都内の多摩地区で生育、生産された木材「多摩産材」を活用する「木になるリニューアル」と連動したもので、2018年3月に旗の台駅改良工事や池上駅開発計画で始まりました。駅を利用されるお客さまや地域の方と共に育んできた、歴史ある木造駅の記憶を未来に継承し、開業時から使用されているホーム上の木製ベンチやホーム屋根などの古材を、新たな駅施設にも活用しています。

また、「えきもく」を活用したイベントを複数回実施し、地元とのつながりにも貢献しています。2018年に実施した第1弾・第2弾のイベントでは、えきもくを使って地域の皆さまと一緒に椅子やクリスマスオーナメントをつくりました。第3弾のテーマは「池上駅のえきもくを街に拡げよう」。池上駅で使っていた古材で、池上駅に設置されていたベンチをリデザインした「えきもくベンチ」を自作いただける「ベンチキット」を用意し、公共の場に設置可能な事業者さまへお配りしました。各事業者さまがつくった「えきもくベンチ」は、郵便局や病院、飲食店など街中11カ所に設置されています。これからもプロジェクトを通して、歴史ある木造駅の記憶を未来へつないでいきます。

建物の長寿命化と価値再生のリノベーション事業

特に関連するターゲット:

  • 12.2 天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用
  • 12.5 廃棄物の発生を大幅に削減

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • まちづくり
  • 脱炭素・循環型社会

変容する社会課題の解決に向けたオフィスリノベーション「IOQシリーズ」

不動産事業においても、既存の建物を活用して環境問題に対応しつつ、オフィスの新しい価値を創出する取り組みを行っています。

「IOQシリーズ」は、「I」(=Innovation)、「O」(=Office)、「Q」(=Question)の頭文字を取った名称で、ワークスタイルやライフスタイルの変容により顕在化した、コミュニケーションの希薄化や労働生産性の低下といった課題(Q)に対して、オフィス(O)の役割を再定義し、イノベーション(I)を創出するイノベーションオフィスです。

第1弾として2021年10月に、東京タワー至近の東京都港区東麻布にオープンした「GROWTH BY IOQ」は、当社が取得する以前はサービスアパートメントとして運営されていましたが、コロナ禍による住宅需要の変化や変容するオフィスのあり方などを鑑み、解体・建て替えはせず、既存の建物を活用してオフィスビルへとりベーションを行いました。

第2弾としてアパレルショップやギャラリーが立ち並ぶ渋谷区神宮前エリアに2022年2月にオープンした「the Folks BY IOQ」もスクラップ&ビルドの新築事業ではなく、既存建物を活用して再生するリノベーション事業で、「Another Local」(=もう1つの地元)をコンセプトとし、施設内には豊富な植栽を施し、交流を促進するオープンラウンジを充実させた他、会員制コワーキングスペースやオフィス契約者専用ラウンジなど、気分や作業内容に合わせて働く場所やコミュニケーションの場を自由に選択できる空間を提供しています。加えて、東急パワーサプライが提供する再生可能エネルギー実質100%の電力を導入しており、サステナビリティの向上にも取り組んでいます。

これらは不動産事業における新しい価値観への対応により事業成長を実現するとともに、環境負荷の軽減と建築廃棄物の削減による社会課題解決を両立させる取り組みです。

鉄道やホテルの事業資産の3R推進

特に関連するターゲット:

  • 12.2 天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用
  • 12.5 廃棄物の発生を大幅に削減

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • まちづくり
  • 生活環境品質
  • 脱炭素・循環型社会

鉄道車両の譲渡や譲受による再活用

当社は、交通事業や不動産事業の他、多くの事業資産を保有しており、その用途も多岐にわたります。そのため、建物以外の事業用資産においても、3R(Reduce、Reuse、Recycle)を推進することは重要な社会的責任と言えます。

東急線を引退した一部車両を他社に譲渡しています。車両解体によるリサイクルに比べて、環境負荷が少なく、譲渡先の鉄道会社にとっても、低コストで車両を更新することができます。供給前には他社向けに改造工事も行っています。連結子会社である上田電鉄や伊豆急行へは、かつて東横線などを走っていた1000系や8000系電車を譲渡した他、東急グループ以外の地方鉄道でも再活用を行っています。

1962年に日本の鉄道で初めての「オールステンレス車両」として登場した旧7000系は、2000年に東急線を引退した後、弘南鉄道(青森県)、北陸鉄道(石川県)、水間鉄道(大阪府)で現在も活躍しています。また、1987年に旧7000系を改造して生まれた7700系も、2018年11月に東急線から引退し、養老鉄道(岐阜県・三重県)へ譲渡されました。外観デザインを変更し、3両編成の中間車両の一部にクロスシートを設置するなど、養老鉄道向けに改造された後、試運転を終えて2019年4月から営業運転を開始しています。以降約30年間、養老鉄道で走り続ける予定です。

この他、伊豆急行では、JR東日本より旧209系電車を譲り受け、同社向けに改造を行い、3000系アロハ電車として2022年4月にデビューを果たしました。鉄道会社の垣根を超えて車両を融通し、地域の路線に合った車両の運用と共に、廃棄物および新造時のCO₂の削減を実現しています。

ホテルのリネン類を高品質で長寿命に!東急リネンサプライの取り組み

ホテル事業で使用するリネン類もお客さまに快適に過ごしていただくための重要なサービス資産であり、これらを高い品質を保ちながら長く使用することは重要な取り組みです。

東急リネン・サプライは、東急ホテルズが運営するホテルの他、東急グループ以外のホテルにリネン類の提供を行っています。また、店舗などで使用するマット類のレンタルも行っています。お客さまが繰り返しお使いになるリネン類を高品質を保ちながら長寿命を実現することは、廃棄物の削減にも大きく貢献しています。東急リネン・サプライは、生物分解が可能な綿素材を使用したリネン類を提供している他、これまでプラスチック素材を使用して廃棄していた東急ホテルズのボディタオルを継続して使用できる綿素材に切り替えました。そのサプライチェーンにおける人権リスクへも対応するとともに、ケミカルゼロで使用できるボイラーや無リンの洗剤を使用し、環境問題にも対応しています。こうしたリネン類、特にタオル類を少しでも長く使用できるよう、タオルが薄くなってきた時点でバスタブなどの清掃用タオルに作り替え、さらに古びてきたらウェスメーカーに引き渡して、別の製品として再利用してもらう循環を40年ほど前から行ってきました。お客さまにホテルでくつろいでいただけるよう高品質を保ちつつ、少しでも長くサステナブルなリネンを提供するホテル事業の縁の下の力持ちの取り組みです。

フードロス削減の取り組み

特に関連するターゲット:

  • 12.3 食品の廃棄、食品ロスを減少
  • 12.5 廃棄物の発生を大幅に削減

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • まちづくり
  • 生活環境品質
  • 脱炭素・循環型社会

当社グループは、生活に密着した幅広い事業を行っており、お客さまがご家庭でお召し上がりになる食材の他、外食事業やホテル事業などさまざまな領域でお客さまにお食事を提供しています。そのような中、食材やお食事を提供する事業者として、サプライチェーン、バリューチェーン全体でフードロス、フードウェイストに取り組むことは重要な社会的責任と考えており、各領域において様々な取り組みを行っています。また、環境ビジョン2030においても、廃棄物原単位の削減目標を設定するとともに、目標達成のためのアクション11では、顧客接点の多い事業特性を生かし、セロ・ウェイスト社会を目指しています。

需要予測発注システムによる食品ロスの削減

東急ストアでは、2018年より順次需要予測発注の仕組みをチルド部門に導入し、食品ロスの削減に取り組んでいます。また、2021年より、東京都の「ICT等を活用した先進的な食品ロス削減」のモデル事業に参画。シノプス社の需要予測発注システムを総菜部門にも導入し、AIによる発注精度の向上や、最適なタイミングでの値引き・追加製造アラートの発報などにより、食品ロスの削減に努めています。

「鮮度保持袋」の使用による高鮮度維持と食品ロス削減

また、東急ストアでは、2016年頃より青果商品(野菜・果物)に鮮度保持袋を使用しています。青果物の呼吸や水分量をコントロールすることで鮮度を保つこの袋の使用により、青果商品を長持ちさせることができ、食品ロス削減につながります。2022年度中に、全商品群の50%へ導入を拡大することを目指し、産地の生産者の皆さまにもご協力をお願いしながら、より新鮮な野菜や果物をお客さまに提供し、お客さまにもご家庭で新鮮なうちに食べきっていただけるよう進めていきます。

食育と食品ロス削減の啓発推進

子どもたちがより健康的な毎日を過ごせるように「バランス良く食べることの大切さ」を、また、全世界で約8億人の人々が飢餓で苦しんでいるのを知り「食べ物の大切さ」を、実際の食品を手に取って、体感しながら学んでもらう活動を行っています。活動にあたっては、健康増進のため野菜・果物を十分に取り入れた正しい食生活を伝える食育活動をしている一般社団法人ファイブ・ア・デイ協会との連携により、家庭でできる食育や食品ロス削減について、子どもたちの気付きを育てています。
2022年度からは食品ロス削減プログラムを強化し、行政や学校との連携を深めています。

ホテルのレストランでのフードロス削減キャンペーン

東急ホテルズが展開する東急REIホテルブランドでは、2020年、「東急REIホテルを食べつくせ!!」キャンペーンを実施しました。これは、同社の若手社員が集結して企画し、東急REIホテルでの朝食の「映え写真」をSNS「Instagram」に投稿していただくことで、宿泊券などが当たるキャンペーンです。タイトルにある「食べつくせ!!」という言葉には、「食べ切る」という意味もあり、朝食のご利用を促進することで、食品ロスの削減に取り組みながら、REIブランドをもっと知っていただきたいという思いが込められています。

また、名古屋東急ホテルでは、ブッフェでの食べ残しを削減するため、お皿への盛りすぎなどを避けるため、ブッフェの楽しみ方などを啓発する食品ロス削減運動に取り組んでいます。併せて、名古屋市環境局が推進する食べ残しゼロ協力店にも加盟し、取り組みを推進しています。

駅を活用したフードロス対策「きになるフードロス」

2021年12月、池上線沿線の温かさやぬくもりのあるデザイン・素材を採用した「木になるリニューアル」で生まれ変わった長原駅では、期間限定で、長原駅および池上線沿線の全4店舗から消費期限内に廃棄となってしまう商品を集荷し、長原駅構内でお客さま向けに販売するイベント「きになるフードロス」を実施しました。食品を扱う店舗において、天候による見込み客数の大きな変動などの理由からフードロスが発生してしまう課題への対策だけでなく、店舗の食品廃棄手間削減にも貢献します。

ベトナムでの食品廃棄物の削減

 現地合弁会社のベカメックス東急は、ベトナム・ビンズン省のビンズン新都市において、「東急ガーデンシティ」プロジェクトを推進し、まちづくりや交通インフラの整備を行っています。同市における商業施設「Hikari」では、施設内のレストランと共に食品廃棄物の削減に取り組んでいます。

生ごみや調理過程で出る野菜くず、失敗したピザ生地などをコンポストで堆肥化。施設内のエディブルガーデン(食べられる植栽)の肥料や施設内で飼育する魚のえさとして活用しております。

また、この過程の中で行うごみの分別により、ごみ自体の排出量と食品ロスを減らす意識を高めています。 

お忘れ物をはじめとする不要品の循環による廃棄物削減

特に関連するターゲット:

  • 12.2 天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用
  • 12.5 廃棄物の発生を大幅に削減

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • まちづくり
  • 脱炭素・循環型社会

当社および東急電鉄、東急バス、東急トランセは、ブックオフグループ(以下、ブックオフ)と連携した「モノを捨てない」資源循環型まちづくりへの実証実験を通じて、お忘れ物をはじめとする不要品のリユース・リサイクルを進めることで廃棄物の削減に取り組んでいます。

この実証実験は、2021年12月より東急線の鉄道施設で拾得されたお忘れ物を対象に、ブックオフを通じて再流通・再資源化を図る取り組みから開始し、2022年6月からは、東急バス・東急トランセが運行するバスで拾得されたお忘れ物についても対象に加えています。さらに、東急線沿線のお客さまがより気軽にリユースを行えるよう、駅直結施設等において不要品買取イベントを行う取り組みも実施しています。

鉄道施設・バスのお忘れ物のリユース・リサイクル

東急線の駅や車内でのお忘れ物は、遺失物法等の関係法令に則り適切に保管・管理し、お客さまからお問い合わせをいただいた場合は、迅速にお返しできるよう努めておりますが、持ち主が見つからず、法的に保管期限が過ぎたお忘れ物については処分せざるを得ず、これまではやむを得ず廃棄物として処理していました。その廃棄量は、年間約25t(2020年度実績)にも上る一方で、この中にはそのまま再使用できるものが数多く含まれていました。そこで、これらのお忘れ物のうち、保管期間経過後に東急電鉄が所有権を取得したものを対象に、リユース・リサイクルに関するブックオフのノウハウと、国内外のブックオフ店舗網を活用して、再流通・再資源化させる取り組みを行っています。

2021年12月の開始後、4か月間で約1,240㎏をブックオフが回収し、うち、62%にあたる768㎏が国内外のブックオフ店舗にてリユース商品として再流通、その他は原則リサイクル資源となりました。これにより、4か月間で約3.2t※のCO₂排出削減に寄与しました。

※環境省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(Ver4.8)」(2022年1月策定)より産業廃棄物における廃プラスチック焼却として算出

また、東急バス・東急トランセのバスで拾得されたお忘れ物についても、東急電鉄と同様に、従来は保管期間経過後は廃棄物として処理していましたが、東急電鉄での実証実験の効果を踏まえ、2022年6月以降は、これらのお忘れ物にも対象を拡大し、さらなるリユース・リサイクルに取り組んでいます。

お客さまの不要品買取イベントを通じたリユース文化の拡大

東急線沿線のお客さまが、より気軽にリユースに参加できる環境の構築を目指し、お客さまが気軽に不要品の持ち込みや相談ができる期間限定のブックオフ不要品買取イベントを、東急線の駅直結施設等で実施しています。

2022年8月までに、2カ所で計41日間実施し、合計8,878点の買取を行い、リユース品として循環させることができました。ご利用いただいたお客さまのアンケートによると、本イベントで不要品を初めて売った方が12%、過去3回以下の方が33%を占め、新たなリユース需要掘り起こしにつながったと考えています。

引き続き、より幅広い層のお客さまが気軽に参加できるリユース文化を広げるべく、同様のイベントを実施します。

未来を担うタイの子どもたちへ日本流のおくりものを

特に関連するターゲット:

  • 12.5 廃棄物の発生を大幅に削減

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • まちづくり
  • 脱炭素・循環型社会

現地子会社のサハ東急コーポレーションでは、タイのチョンブリ県シラチャ郡でのまちづくりを行っています。シラチャには、日系企業が多く進出しており、日本人駐在員とその家族に安心かつ快適な住まいを提供するため、日本人向け賃貸住宅事業を推進しています。賃貸住宅「ハーモニック レジデンス シラチャ」では、居住者が平均3年程度で帰任することに伴い、定期的に引っ越しが発生し、そのたびにまだ十分使える自転車・子供用の洋服や靴・スポーツ用品・文房具・おもちゃなどが大量に廃棄される課題がありました。そこで、サハ東急コーポレーションは、2021年より、ボランティアで各家庭に協力を呼び掛け、タイの児童養護施設に物品を寄付する取り組みを開始し、継続的に実施をしています。日本の「もったいない」「おさがり」文化を通じて、タイの未来を担う子どもたちへの貢献、廃棄物の削減や資源の有効活用を実現するとともに、日本人コミュニティーと現地とのつながりを醸成し、駐在員家族の子どもたちがSDGsや社会貢献を体感できる有意義な活動になっています。新型コロナウイルス感染防止拡大規制の影響によって、タイの児童養護施設、孤児院への寄付数が著しく減少していることもあり、日本人家庭からの多くの継続した寄付に対して、施設関係者や子どもたちからも多くの感謝の声をいただいています。