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ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)

基本的な考え方

基本的な考え方

社長メッセージ


東急株式会社
取締役社長
堀江 正博

メガトレンドとしての少子高齢化やテクノロジーの進化、そして足元の新型コロナウイルス感染症拡大などによって社会環境が変化し、それとともに人々の価値観や行動が大きく変容しています。

1922年に創業した当社は、交通、不動産、生活サービスなどお客さまの日々の暮らしに深くかかわる領域で事業を展開してきましたが、長らく男性中心の組織であり、社内の人材はどちらかと言えば同質化しがちでした。組織が多様化しなければ、新たな切り口や発想は生まれにくく、次代に向けての成長が期待できません。また、社会環境の変化に伴い、さまざまなバックグラウンドを持つ人材が潜在的に増えていることをふまえても、社内のダイバーシティマネジメント(多様性を生かす組織づくり)の推進はもはや必要不可欠です。
ジェンダー、年齢、障がい、性的指向、家庭環境、経験、価値観などといった、さまざまなちがいがあることを知り、それぞれを受け入れることで、新たな発想が生まれ、会社の成長につながると考えています。

ダイバーシティマネジメント推進の象徴的な数値目標として、2023年度末までに「管理職に占める女性比率10%以上」「男性育児休業取得率100%」を掲げていますが、これらの達成を目指しつつ、当社で働く従業員全員が働き続けたい会社となるよう、トップリーダーとして積極的に発信し、ダイバーシティマネジメントに関わり続けていきます。

東急㈱連結 ダイバーシティマネジメント宣言

東急グループでは、経営理念のひとつとして「個性を尊重し、人を活かす。」を掲げています。
これに基づき、グループ全体でダイバーシティマネジメントを推進し、全従業員に着実に浸透させることを目指すべく、2017年度に「東急株式会社(連結)ダイバーシティマネジメント宣言」を発表しています。

東急電鉄(連結)ダイバーシティマネジメント宣言 1.あらゆる従業員の個性を尊重し、制度・風土・マインドの観点から活躍を推進します。 2.様々なお客様の期待に応え、新しい価値創造(イノベーション)を実現します。 3.ダイバーシティを経営戦略と位置付け、持続的な企業価値の向上を目指していきます。

「制度」「風土」「マインド」

当社は、「制度・風土・マインド」の3つの観点から、ダイバーシティマネジメント推進につながる取り組みを展開しています。多様な人材が活躍できる制度を整備し、お互いのちがいを尊重し受け入れる組織風土が醸成され、従業員が自らの強みを活かして活躍するマインドや自覚を持つことで、はじめてダイバーシティマネジメントが実現すると考えています。

東急株式会社 人材戦略室 労務企画グループ ダイバーシティ推進担当

推進体制

推進体制

2014年10月より、ダイバーシティマネジメント推進を担う専属チームを人事部門内に設置し、人事、キャリア開発、福利厚生ほか部門内の各担当と適宜連携しながら、従業員向けの各種取り組みを企画・実施しています。
また、社内全部門の総括課長を対象とした管理職向けの人事・労務関連の情報共有会議を年2回開催している他、人事部門長と各部門長が人材戦略について議論する場「HRコミュニケーション」を定期的に設けるなど、人事以外の部門ともダイバーシティマネジメントに関するトピックを適宜共有・意見交換できる体制を構築しています。
ダイバーシティマネジメント推進の進捗状況は、適宜「人材戦略に関するアドバイザリー・ボード」にて報告し、社長や社外取締役を含むトップマネジメントから提言をいただいている他、経営会議・取締役会においても随時報告・議論しています。
その他、連結子会社も対象とした取り組みとして、人事・労務に関する情報交換会を年2回開催しており、各社における好事例共有や法改正対応ポイントの解説などを行っています。

ダイバーシティ・LGBTQ相談窓口

社内のキャリアコンサルタントの資格保有者などが、ワークライフバランスやLGBTQに関する従業員の悩みごとなどに対応しています。

東急株式会社 人材戦略室 労務企画グループ ダイバーシティ推進担当

主な取り組み

主な取り組み

多様なバックグラウンドを持つ人も当社でいきいきと働き続けられるよう、「スマートチョイス(働く時間や場所の柔軟化)」をはじめとした働き方に関する制度を整備している他、多様な人材を受け入れる環境づくりも進めています。

ちがいをちからに~ダイバーシティマネジメント推進に関する当社の取り組み~詳細

時代の流れとともに、さまざまなバックグラウンドをもつ人々が同じ職場に存在するようになりました。今や誰しも、育児や介護、病気治療などなんらかの事情を抱えながら仕事を続ける時代です。そこで当社では、お互いのちがいを尊重し受け入れられるような雰囲気づくりに注力しています。

育児・介護との両立支援

<育児>
  • 産休・育休者交流会(年2回)
  • 育休からの職場復帰セミナー(年1回)
  • 事業所内保育所(泊まり保育あり)、東急グループ対象事業所内保育所(休日保育)
  • 病児保育利用支援、学童保育補助
<介護>
  • 介護コンシェルジュデスク
  • 介護個別相談会(年2回)
  • 介護セミナー、eラーニング
  • 介護支援ハンドブック
<育児・介護共通>
<妊娠・育児・介護時に使える主な制度一覧>

※1 保存年次休暇取得事由として「不妊治療」も選択可

※2 2020年10月より、対象者を会社貸与のモバイル機器(PC、iPadなど)所持者まで拡大

ダイバーシティ&インクルージョンセミナー(旧:管理職のマネジメントセミナー)

組織風土の醸成のためには管理職の意識改革が重要なポイントであると考え、2015年度より、社長を含む全執行役員および全管理職を対象としたマネジメントセミナーを開催しています。毎年、各界の有識者をお招きし、働き方改革や女性活躍推進などダイバーシティに関するテーマでご講演いただく他、社長メッセージも発信しています。
2022年度からは、全従業員がダイバーシティに関して理解を深める場とすべく、ダイバーシティ&インクルージョンセミナーへと名称変更し、連結子会社も含めて広くオンライン配信しています。



メンター制度

従業員のキャリア形成支援やダイバーシティマネジメントに対する理解促進を目的として、2017年度よりメンター制度を実施しています。キャリアに関する悩みや業務上の課題解決など、メンティ(相談者側)の意向にあわせて多岐に渡る内容でメンタリングが行われています。
2017~2019年度は取締役-部長級(連結子会社で経営層を担う者)、執行役員級-課長級、部長級-課長補佐級の3層構造で展開し、3年間でほぼ全ての役員と執行役員が参加したことで、役員自身が従業員の多様化を強く実感し、ダイバーシティマネジメント推進の重要性を再認識するきっかけになりました。2021年度からは対象を拡大、従業員の主体性に重きを置き、メンター・メンティとも公募制としました。メンティ・メンターとも年齢やキャリアの門戸を広げたことで、若手を含め、当社の従業員が今後のキャリアを考える一助として本制度が活用されます。

eラーニング

ダイバーシティに関する基本的な知識を身に付け、お互いのちがいを尊重し受け入れる雰囲気づくりにつなげるべく、全従業員(社用メールアドレス保持者)を対象に定期的にeラーニングを実施しています。

<過去実施したテーマ(一例)>

  • ダイバーシティマネジメント
  • アンコンシャスバイアス
  • LGBTQ

Dマガジン

従業員にとって「ダイバーシティがちょっと楽しく、半歩身近になる」ことを目指した社内メディアを2020年度より制作し、社内イントラネット上で配信しています。ジェンダー、年齢といった目に見えやすいダイバーシティに加え、LGBTや価値観などといった目に見えにくいダイバーシティもテーマとして扱い、さらにテーマに沿った社員紹介なども行うことで、ダイバーシティに対する従業員の意識醸成を図っています。毎号、経営層からのコメントも掲載しています。

その他の取り組み

価値観のちがいをテーマにしたオンラインイベントを開催したり、これまでのキャリアの変遷やかかる思いを語った社員インタビュー記事をオウンドメディアに掲載したりするなど、キャリアや価値観といった目に見えにくいダイバーシティにも着目し、視聴者(読者)自身の内省や理解、社内でのロールモデル発見などにつなげています。

女性活躍推進詳細

当社の前身である東京急行電鉄株式会社は鉄道事業を母体とする企業であり、宿泊勤務を伴う事業特性でありながら1999年まで女性の深夜労働などが法律上認められていなかったことから、女性社員数が非常に少ない状況が長らく続いていました。しかしながら、社会環境の変化やお客さまのニーズに合わせて、不動産や各種生活サービスなど段階的に事業を多角化したことによって、従来にない新たな発想が求められるようになり、組織の多様化、すなわちダイバーシティマネジメントは必要不可欠なものとなりました。中でも女性活躍推進は、当社の実情からしてもダイバーシティマネジメントに最もインパクトを与えるテーマとして特に注力してまいりました。当社があらゆる場面でお客さまの生活を支える事業を担っていること、そのお客さまの多くが女性であることを踏まえても、サービス提供側である当社にも女性が存在するのが自然であると考えています。
当社は、1988年度から女性総合職の新卒採用を開始し、それ以来、性別差なく採用や配属、管理職への登用を行っています。一方、育成においては、女性向けセミナーの開催や女性限定の外部研修に積極的に派遣するなど、女性に対して手厚く各種取り組みを実施し意識的にチャンスを与えることにより、女性社員のマインド醸成に取り組んでいます。
また、意思決定層に女性を増やすことでの会社の成長を企図し、女性管理職比率などに関する目標を策定しています。

<女性活躍推進に関する目標>

  • 女性管理職目標
  • 女性取締役数 2023年度まで継続して2人就任
  • 女性正社員比率 2023年度末までに43%
  • 新卒女性総合職採用比率 2023年度まで継続して40%以上

WE(Women Empowerment)セミナー(旧:東急グループ女性管理職フォーラム)

女性管理職のネットワーク構築やロールモデル発見を目的として、2014年度より、当社および一部連結子会社の女性管理職や女性管理職上長などを対象に開催しています。毎年、各界の女性エグゼクティブをお招きし、自らのキャリアの変遷やそれを踏まえたご自身の思いなどをお話しいただく他、参加者のエンパワーメントにつながるようなプログラムの実施や社長メッセージも発信しています。
2022年度からは、職位関係なく広く自身のキャリアを見つめ直す機会とすべく、東急グループWEセミナーへと名称変更し、連結子会社も含めて広くオンライン配信しています。

* WE:Women Empowerment



かがやきwith

若手女性社員を対象とした座談会を2015~2018年度に開催しました。管理職を中心とした先輩女性社員が講師役となって、ライフイベントと仕事との両立のしかたやキャリアに対する考えなどを語り、若手女性社員の将来に対する漠然とした不安の払拭につなげました。2020年度以降は、性別関係なくキャリアに対する内省を深め他者理解につなげてほしいという思いから、価値観のちがいに迫るダイバーシティイベントへと昇華しています。

女性の健康に関するセミナー

誰もがいきいきと働き続けられる環境づくりのためには、女性の健康課題について理解を深める場が肝要と考え、2016年度より定期的に女性の健康に関するセミナーを実施しています。生理や更年期障害、乳がんなど女性特有のテーマを中心に扱っており、また男性にも積極的に学んでほしいとの思いから、2020年度からはオンライン開催としています。

外部研修への派遣

キャリアアップとライフイベントが重なりやすい女性に対して、社内外でのネットワーク構築や育成の機会を広く提供することは重要と考えています。そこで、社外の女性とも積極的に触れ合うことにより自身のキャリア内省や視野の拡大につなげることを目的として、女性限定の外部研修に当社女性社員を派遣しています。

<派遣実績のある主な研修>

  • NPO法人J-Win High Potentialネットワーク/Next Stageネットワーク/Executiveネットワーク/内永塾/Switch-On
  • 経済産業省 Women’s Initiative for Leadership/リーダーシップ・メンター・プログラム
  • 野村マネジメントスクール 女性リーダーのための経営戦略講座
  • 経団連 女性チャレンジ支援講座
  • 昭和女子大学キャリアカレッジ

活躍事例

性別関係なく配属を行っており、多くの部門で女性社員が活躍しています。

女性役員の活躍事例

株式会社SHIBUYA109
エンタテイメント出向
代表取締役社長
石川あゆみ

通信事業者などを経て、より生活に密着したまちづくりに携わりたいと思い中途で入社しました。鉄道やリテールといった顧客接点を、グループの顧客基盤として活用するための各種サービス設計やITプラットフォーム構築に携わった後、リテール事業部にて、リテール事業の中期戦略策定およびDX推進を担当。2021年4月より現職に着任しました。
SHIBUYA109エンタテイメントでは「Making You Shine!若者の今を輝かせ、夢や願いを叶える」をビジョンに掲げ、商業施設運営や各種メディア・マーケティング事業を通じて、Z世代のインサイトに寄り添いながら、その熱量やニーズを社会全体に還元する「Z世代と企業・社会の架け橋となる”若者ソリューションカンパニー”」への転換を目指し、各種取り組みを進めています。

男性育休取得推進詳細

「子育ての喜びや大変さを家族でわかちあってもらいたい」「積極的に育休を取得することによって周囲への理解を深め、育休を取りやすい雰囲気を職場内に広めてもらいたい」といった思いから、当社は「2023年度末までに男性育休取得率100%」という目標を掲げ、男性社員の育児休職取得を推進しています。

<主な取り組み>

  • 配偶者出産休暇(有休/最大3日間)
  • 育児休職の一部有給化(男女問わず、育休期間中の有給休暇の活用により最大53日の賃金を支給)
  • 社内報などへの男性育休特集掲載
障がいのある社員の活躍詳細

当社では、障がいのある社員もさまざまな部署で活躍しています。障がいをその社員の持つ特性と捉え、商業施設のインフォメーションスタッフを対象とした手話教室を開催したり、駅係員を対象に聴覚障がいのあるお客さまへのおもてなし勉強会を開催したりするなど、本来の業務以外の分野でも活躍しています。



特例子会社 (株)東急ウィル

2004年4月に、障がい者の雇用促進を目的とした特例子会社※「東急ウィル」を設立しました。障がい者の雇用機会を創出し、社会人としての自立を支援しています。
東急ウィルでは、鉄道関係施設内の清掃業務を中心に、寝具類のクリーニング業務や名刺印刷業務、2023年度からは東急(株)本社の事務補助作業委託など、さまざまな業務を担っています。明るく元気にあいさつすること、手順書に従って丁寧に、助け合って作業することをモットーに、一人ひとりが意欲を持って取り組んでいます。障がいのある方も働きやすい、働き続けたいと思える環境づくりの一環として、専門知識習得研修を修了した「ジョブコーチ(職場適応援助者)」2名を配しているほか、障がい者の業務をサポートするスタッフの半数が「障がい者職業生活相談員」の資格認定を受けています。

※ 特例子会社制度は、障がい者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たした場合に、親会社や関係会社と合算して障がい者雇用率を算出できるものです。これによる障がい者雇用率は2.87%(2023年6月1日時点)で、法定雇用率を達成しています。

新入社員入社式

関東鉄道特例子会社連絡会 ティーボール大会

東急駅伝大会

多様な人材の活躍詳細

このほかにも、当社では年齢や国籍など、属性を問わずさまざまな従業員が活躍しています。
定年を迎える社員に対しては、2021年3月より「アクティブ60s制度」を導入し、定年後も安定して働き続けられる環境を整備しています。また、64歳を迎えた定年後再雇用者に対しては、東急グループ採用ホームページへのキャリア登録を紹介し、65歳以降も働き続ける意欲を持つ人が能力を発揮できるよう登録先の企業で検討するなど、人生100年時代を見据え、意欲のある方が長く働き続けられるような環境を提供しています。
その他、50歳時点でのキャリアプランセミナーや50代後半の社員を対象としたライフプランセミナーなど、定年を迎える前のタイミングにおいても定年後のキャリアを描けるような支援を行っています。

LGBTQに関する取り組み詳細

お客さまや社員が多様化している現状を踏まえ、LGBTQも「その人が持つ個性」と捉え、その個性を尊重し、互いに高め合うことが個人や組織の持続的成長およびさまざまなライフスタイルやワークスタイルを持つ人々の期待に応えるまちづくりにつながると考えています。当社では、2016年度以降、勉強会の開催や相談窓口の開設、就業規則の変更などさまざまな取り組みを行っています。

<主な取り組み>

  • LGBTQに関する理解を深める勉強会
  • 就業規則の見直し、差別禁止を明文化
  • 死亡弔慰金支給規定の変更
  • 結婚をはじめとする家族に関わる休暇の家族対象にLGBTQのパートナーを追加
  • ダイバーシティ・LGBTQ相談窓口の開設
  • Dマガジンでの特集
  • eラーニング
  • 東京レインボープライド協賛(2017年~)
  • 社内へのレインボーカラーグッズ設置
  • LGBTQ当事者をゲストに招いたセミナー・トークセッション開催



東急株式会社 人材戦略室 労務企画グループ ダイバーシティ推進担当