第5回東急グループ環境・社会貢献賞

第5回東急グループ環境・社会貢献賞

産官学「三方良し」の関係

グループ会社33社から98案件(環境分野23社57案件、社会貢献分野27社41案件)の応募があり、一次審査、審査委員会を経て、以下の表彰案件に決定しました。

環境・社会貢献賞(グランプリ) 1件

日本初全路線の実質再エネ電力100%運行

東急電鉄株式会社

東急電鉄では、東急株式会社が公表した「環境ビジョン2030~なにげない日々が、未来をうごかす~」に基づき、沿線エリアでの脱炭素・循環型社会実現に向けた象徴的アクションとして、2022年4月1日より東急線全路線での運行にかかる電力を再生可能エネルギー(再エネ)由来の実質CO2排出ゼロの電力に切り替えました。世田谷線では2019年より再生可能エネルギー100%電力での運行を開始しており、今回は鉄道7路線(東横線・目黒線・田園都市線・大井町線・池上線・東急多摩川線・こどもの国線)※1で使用する電力に対象を拡大したものです。鉄道7路線※1は東京電力エナジーパートナー株式会社、世田谷線は引き続き東急パワーサプライの再エネ電力メニュー※2により、実質CO2排出量ゼロを達成しました。全路線の実質再エネ化は国内で初めての取り組みで、これにより年間のCO2排出量を約165,000t(一般家庭の約5万6千世帯分)削減できる見込みです。国内外の報道機関にもこの取り組みが幅広く取り上げられ、大口の再エネ需要の創出と沿線の環境機運の醸成に大きく貢献しました。全線再エネ運行開始を契機として、鉄道のさらなる環境性能向上とそのPR、利用促進策によって地域の脱炭素の機運醸成に寄与し、脱炭素ドミノ(地域の集中的な取り組み)に貢献していきます。

  • ※1 2023年3月18日以降は、鉄道8路線(2023年3月18日開業の東急新横浜線も再エネ100%電力で運行)。
  • ※2 RE100に対応したトラッキング付非化石証書活用によるメニュー

池上線・東急多摩川線蒲田駅で出発式を開催
池上線・東急多摩川線蒲田駅で出発式を開催

再エネ由来の電力100%での運行をお知らせするポスター
再エネ由来の電力100%での運行をお知らせするポスター

環境賞 2件

使用電力を100%再生可能エネルギーに切替完了

東急不動産株式会社
東急リゾーツ&ステイ株式会社
株式会社東急イーライフデザイン

東急不動産は2022年12月、当社事業所および保有施設の使用電力の100%再生可能エネルギー(再エネ)への切り替えを完了しました。これにより、CO2排出量を年間約15.6万t(一般家庭の約8万世帯分)削減することができます。
東急不動産は2014年に再エネ事業に参入、「ReENE(リエネ)」の事業ブランド名で発電所を全国に展開しています。2019 年には国内不動産業で初めて国際イニシアチブ「RE100」 に加盟。2021年4月には、自社発電所の「トラッキング付非化石証書」を活用し、自社施設17件での再エネ導入を開始するなど、不動産を多数保有する電力需要家でありながら再エネ事業を進めている強みを生かし、施設ごとの事情に合わせた再エネ化スキームの検討や共同事業者との合意形成など多岐にわたる要素を統合的に推進。各部署担当者が能動的に活動したことにより、国内事業会社(金融機関を除く)として初の100%再エネ切り替えを、スピード感を持って完了することができました。テナントから再エネ化の要望をいただくなど、昨今、環境貢献できる物件の価値が認められ、取り組みが事業に直結していくことを実感しています。

※トラッキング付非化石証書:再エネなどの非化石電源由来の電気が有する「非化石価値(環境価値)」が証書化され、RE100対応が可能となるよう発電所所在地等の属性情報(トラッキング情報)が付与されたもの。

リエネ静岡神山太陽光発電所
リエネ静岡神山太陽光発電所

「トラッキング付非化石証書」用いた再生可能エネルギー導入の仕組み
「トラッキング付非化石証書」用いた再生可能エネルギー導入の仕組み

需要家主導の再エネ導入による発電所の創設〜東急歌舞伎町タワー、渋谷ストリーム、南町田グランベリーパーク〜

東急株式会社
株式会社東急レクリエーション
株式会社東急モールズデベロップメント
東急プロパティマネジメント株式会社
株式会社東急パワーサプライ

東急、東急レクリエーション、東急モールズデベロップメント、東急プロパティマネジメント、東急パワーサプライの5社は、複合施設「渋谷ストリーム」「南町田グランベリーパーク」「東急歌舞伎町タワー」で使用する電力を再生可能エネルギー(再エネ)とするにあたり、大阪ガス株式会社、GPSSホールディングス株式会社と、太陽光発電に関するオフサイトコーポレートPPAモデルを構築。大阪ガスとGPSSホールディングスが出資したGDsPJ合同会社が新設した太陽光発電所からの再エネ電力を、上記の3施設に導入しました。これは「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金(令和4年度、経済産業省)」を活用した、不動産開発事業者、再エネ開発事業者、エネルギー会社による国内初のオフサイトコーポレートPPAモデルです。 GDsPJ社の発電量は約9,000kW、上記3施設の再エネ導入によるCO2排出削減量合計は24,000tに上ります。エネルギー価格の高騰など再エネ導入のハードルが上がる中、関係各社の密な連携により、安価かつ安定的な再エネ調達を実現できました。東急グループの象徴的3施設で、発電所の創設により環境負荷を低減する新たなまちづくりに寄与しています。

※オフサイトコーポレートPPAモデル:場所の離れた発電所から需要場所へ送配電系統を通じて電気を供給することを前提に、発電事業者・小売電気事業者・需要家が長期・固定価格で電力購入契約を結ぶ、電力供給・調達方法

取り組みの概要図
取り組みの概要図

渋谷ストリーム
渋谷ストリーム

南町田グランベリーパーク
南町田グランベリーパーク

東急歌舞伎町タワー
東急歌舞伎町タワー

社会貢献賞 5件

地域の枠を超えたBC推進活動とレジリエンス社会貢献認証の取得

イッツ・コミュニケーションズ株式会社

イッツ・コミュニケーションズのBC(事業継続)推進を通じた社会貢献は、東日本大震災直後、同業の気仙沼ケーブルネットワーク株式会社に人材、機器類の無償提供を行うことから始まりました。「困っている方々にテレビという情報源を届ける」ため、それまで接点のなかった同社に技術スタッフを派遣。多くの社員が、被災者に情報を届ける重要性や、BCの根幹となる心構えを胸に刻みました。その後、発災時に人材や機器類を相互援助する「お互いさまBC連携」を全国の複数局と締結し、当社以外の対災害強靭性向上に貢献しています。また、台風時の河川ライブカメラの映像提供などにより、地域住民の安心感醸成にも寄与してきました。2021年7月に伊豆急ケーブルネットワークの熱海伊豆山エリアで甚大な土石流災害が起きた際は、発災の約1時間後には社内に災害対策支援本部を設営し、約1カ月にわたり、同社への支援活動を実施しました。
こうした活動が認められ、BC活動に積極的に取り組む事業者を認証する、内閣官房創設の「国土強靭化貢献団体認証【レジリエンス認証】(事業継続)」を、情報通信業第1号として取得しました。さらに2020年には認証区分「事業継続および社会貢献」で認証を取得。BC活動の推進は当社の文化となっています。

気仙沼ケーブルネットワーク社のケーブル復旧作業に取り組む当社社員(気仙沼隊)
気仙沼ケーブルネットワーク社のケーブル復旧作業に
取り組む当社社員(気仙沼隊)

2021年伊豆山地区土石流災害での支援活動
2021年伊豆山地区土石流災害での支援活動


川崎市の小学生に環境学習「水素で学ぶSDGs」

東急ホテルズ&リゾーツ株式会社
東急バス株式会社

東急ホテルズ&リゾーツと東急バスは、川崎市教育委員会の協力のもと、川崎市立東大島小学校の5年生36人を対象に、究極の未来のエネルギー「水素」を題材とした環境学習「水素で学ぶSDGs」を開催しました。会場となった川崎キングスカイフロント東急REIホテルは、使用済みプラチック由来の水素を電気・熱エネルギーとして活用する世界初の「水素ホテル」です。今回の約2時間半のプログラムでは、「水素ホテル」の仕組みについて学んだ後、水素発電を用いてホテル内でレタスを栽培している「レタス工場」の見学と収穫、水素で動くラジコンカーの操作を体験しました。さらに、水素で発電した電気で走る燃料電池バス(水素バス)の見学・試乗も行われました。次代を担う子どもたちに、両社が実施している「水素の取り組み」を体験してもらうことで、水素をより身近に感じてもらい、環境に関する学習機会を提供することができました。今後も継続的に環境学習を提供し、地域社会と連携した環境への取り組みを推進していきます。

収穫したレタスについての説明を熱心に聞く子どもたち
収穫したレタスについての説明を熱心に聞く子どもたち

水素バス試乗体験の様子
水素バス試乗体験の様子

沿線住民への環境教育と地域活動参画促進

株式会社東急キッズベースキャンプ

東急キッズベースキャンプ(KBC)は、民間学童保育事業・未就学児保育事業・放課後児童クラブ運営受託事業において75施設を運営し、子育てしやすい沿線を目指しています。安心して子どもを預けられる場所を提供するため「民間学童保育」事業を開始して以来、社会につながる人間力、自分が生きたい人生を切り開いていくための土台となる力の形成に重きを置き、独自開発したイベントプログラムや日常プログラムを作成し、継続・拡張してきた実績があります。民間学童保育事業では、KBC全店舗でSDGsをテーマとしたイベントプログラムを実施。特にKBCα(アルファ)店舗では、子ども自身の考えを自分の言葉で発表するスピーチコンテスト、KBC∞(インフィニティ)店舗では国際教育と絡めた環境教育なども行っています。また、2018年には「ウッドスタート宣言」に調印し、未就学児保育事業「KBCほいくえん」全園で、木を使った保育備品や玩具などを整備。木を中心に置いた「木育(もくいく)」に取り組んでいます。さらに、全事業において、「エコボラキッズ研究所」という公共心を伸ばすイベントプログラムを実施し、ゴミ拾いなど地域ボランティアに参加することなどで、世代間交流の促進、街の活性化にも寄与しています。

※ウッドスタート宣言:ウッドスタートは、東京おもちゃ美術館が展開している「木育」の行動プラン。ウッドスタートに関する調印を行うことを「ウッドスタート宣言」と称している。

KBCでのイベント講座の様子
KBCでのイベント講座の様子

KBCほいくえん
KBCほいくえん

産学官連携で減災・レジリエンスを強化!

株式会社東急コミュニティー

総合不動産管理会社である東急コミュニティーでは、災害時に建物の被害を最小限に抑え、復旧・復興を迅速化するための方策に、産学官連携で取り組んでいます。具体的には、診断から工事までワンストップで行うことができる当社の「建物調査・診断」と、自治体の「罹災証明書交付に係る住家被害認定調査」を掛け合わせた3つの取り組みに注力しています。 一つ目は、東京大学生産技術研究所附属災害対策トレーニングセンター(DMTC)への技術的支援です。災害対策に関わる人材を育成する研修プログラムの建物調査に関する領域を担い、実技トレーニングなどを行っています。
二つ目は、東京大学生産技術研究所沼田研究室との共同研究です。災害発生直後の自治体は、避難所運営や物資調達にリソースを充てるため、各種被災者支援策を受けるために必要な罹災証明書交付のための住家被害認定調査が遅れがちです。そこで、民間企業が調査を行える仕組みづくりを研究し、自治体と民間企業が協力して復旧・復興を早めることを目指しています。
最後は北海道北広島市との共同研究です。住家被害認定調査に民間企業が連携する方策や、当社の施工管理システム「Field’sEYES(防災版)」の自治体での活用などを検討しています。

東京大学生産技術研究所附属災害対策トレーニングセンターの研究・活動
東京大学生産技術研究所附属災害対策
トレーニングセンターの研究・活動

北海道北広島市との協定締結(左:東急コミュニティー 佐藤潤 取締役常務執行役員、右:北広島市 上野正三 市長)
北海道北広島市との協定締結
(左:東急コミュニティー 佐藤潤 取締役常務執行役員、
右:北広島市 上野正三 市長)

渋谷のまちの落書き消し活動 ~クリーンアップ大作戦in渋谷~

東急株式会社

東急グループ創立100周年の節目に、いつもお世話になっている「渋谷のまち」への恩返しの意を込めて「クリーンアップ大作戦in渋谷」と題して落書きを消す活動を実施しました。落書き消しは、対象物の所有者などとの事前交渉が高い壁となりますが、今回は渋谷区環境整備課、渋谷地区美化推進委員会、渋谷道玄坂振興組合の協力を得て、普段は取り組むことが難しい公共物を対象にした落書き消しを行うことができました。当日は、東急株式会社髙橋社長(当時)をはじめ、同社社員約80人の有志が集まり、道玄坂エリアを中心に40カ所の落書き消しを実施。この取り組みが、まちの美化だけでなく、落書き行為の抑制など治安維持にも貢献したとして、「令和4年度渋谷区きれいなまちづくり表彰式」において、渋谷区長より感謝状を授与されました。
「企業が自らの設置物でないものの落書き消し活動を自発的に行うのは初めてのこと」と、渋谷区関係者や地域の方々から感謝の言葉を多数いただき、今後の美化活動参加への機運醸成へとつながる活動となりました。

落書き消しに取り組む当社社員
落書き消しに取り組む当社社員

落書きが消えてキレイになったポスト
落書きが消えてキレイになったポスト

特別賞 環境分野 5件

サプライチェーン全体最適化への取り組み

株式会社東急ストア

東急ストアでは、加速するドライバー不足や物流費の高騰など、物流を取り巻く環境悪化への対応と、カーボンニュートラルの実現に向けた課題解決に取り組んでいます。その第一歩として、2019年に、当社と輸送会社、管理会社と共に物流プロジェクトを発足。配送効率を高めることで運行車両台数と業務委託費を削減し、同時に環境への負荷軽減を目指しました。
店舗への納品時間、便構成比、センターでのドライバー待機時間などの課題を洗い出し、「庫内」「配送」の視点に分けて改善施策を策定、それを実行しました。その結果「庫内」では入荷時間の前倒しと仕分け方法変更による人員削減、夜間作業の削減などで、約1億1千1百万円(年間)の経費削減に至りました。「配送」の面では、統一コンテナ導入によるドライバーの作業時間削減、大量の青果物の分納などを実施し、約4千1百万円(年間)の経費削減となりました。2021年度は、配送便数や軽油使用量、CO2排出量の削減といった環境効果を上げています。
今後も物流業界の2024年問題を見据え、パートナーと一丸となりサプライチェーン全体最適化を推進していきます。

物流を取り巻く環境
物流を取り巻く環境

青果物の分割納品
青果物の分割納品

プラスチックカトラリーの削減

株式会社東急ストア

2022年4月、事業者のプラスチック削減の取り組み強化に向けた「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)」が施行されました。それを受けて当社では、店舗で無料配布しているプラスチックカトラリー類(スプーン、フォーク、ストローなど)の削減を検討し、全店舗で木製、紙製のカトラリーに切り替えました。その結果、年間で21.1tのプラスチック削減につながり、環境保護に大きく貢献できました。
「プラスチック資源循環促進法」で求められる「ワンウェイプラスチック製品の使用の合理化」では、必ずしも素材の変更は必要ありませんが、プラスチック削減効果を最大限に発揮できる取り組みを実施することで、当社の環境問題に対する意識を明確に社内外に明示することができました。素材変更後のカトラリー類は、持続可能な森林活用・保全を目的として適切に管理された森林から生産された製品であるため、森林保護にもつながります。ホームページでのニュースリリース掲載、店頭でのポスター掲示などで事前に啓蒙活動を実施したところ、お客さまからは好意的なご意見が多数寄せられました。

新しい無料配布のカトラリー 新しい無料配布のカトラリー 新しい無料配布のカトラリー

店内ポスター
店内ポスター

3Dを活用!壁面太陽光発電ポテンシャル推計

東急不動産株式会社

2050年のカーボンニュートラル実現に向け、各地で太陽光発電パネルの設置など再生可能エネルギーの導入が進められていますが、都市部では屋上の設置スペースが限られており、軽量・薄型の次世代型太陽光パネルの開発と共に、建物壁面の活用が期待されています。しかし、建物壁面の日射量や発電量を推計する手法が確立されておらず、発電ポテンシャルが不透明という現状がありました。そこで当社は、国際航業株式会社と協業で、国土交通省が推進する3D都市モデルの整備・活用事業「Project PLATEAU」のユースケースとして、壁面太陽光発電のポテンシャル推計システムを開発し実証を行いました。
3D都市モデルを活用することで、建物の影の影響を考慮しながら、広域的に建物面ごとの日射量と発電量を推計する方法を確立。横浜市西区・中区の一部地域における発電ポテンシャルを推計し、屋根面だけの発電ポテンシャルと比較し、エリアの発電ポテンシャルが約266%に増加するという分析結果を得ました(推計結果はオープンデータとして一般公開予定)。現在、ペロブスカイト太陽電池など、次世代太陽光パネルの実用化を見据え、実証や将来的な活用法について検討を進めています。

本取り組みの実施体制
本取り組みの実施体制

従来の推計方法とのポテンシャル比較
従来の推計方法とのポテンシャル比較

ベトナムにおける環境配慮型商業施設の開発

べカメックス東急

ベトナム・ビンズン新都市にある東急ガーデンシティの商業施設「Hikari」では、環境に配慮したさまざまな取り組みを行っています。その一つは、新しい循環型農業「アクアポニックス」。本施設内の人工池で育てている魚の排泄物を利用して栄養分豊富な水を作り、その水を水生植物や植栽の育成に活用するシステムです。また、ゴミ削減のために行っているのが「コンポスト」。飲食店から出る生ゴミを堆肥にして、施設内で育てる野菜や植栽の栄養として再利用します。協力店舗では、コンポスト用にゴミを完全分別し、排出されるゴミの60%をリサイクル・リユースしています。店内には「リサイクルルーム」を設置し、ゴミの分別を視覚的に見せることで、SDGsの認知度や関心が日本と比べてまだ低いベトナムにおいて、環境配慮に関心を持ってもらうきっかけにもしています。その他、施設に食べられる植栽「エディブルガーデン」を配し、育てた野菜や果物を飲食店で利用する仕組みや、太陽光発電を導入してフードコートの日中消費電力の約60%削減を実現しています。これらの取り組みは、ベトナム国内の多くのメディアで紹介され、注目を集めています。

東急ガーデンシティの商業施設「Hikari」
東急ガーデンシティの商業施設「Hikari」

取り組みの概念図
取り組みの概念図

宮古島まいぱり熱帯果樹園における水循環利用の実証実験

東急株式会社
宮古観光開発株式会社
東建産業株式会社

東急株式会社は「環境ビジョン2030」で掲げるグループ連結の水資源使用量の10%削減目標を達成すべく、宮古島まいぱり熱帯果樹園で実証実験を実施しています。これは「まいぱり」施設内から排出される汚水を既存排水浄化槽で処理した後、新たに導入した複合発酵技術で追加処理し、その水(再生水)を施設内のトイレの洗浄用水として循環利用する取り組みで、上水使用量の約25%の削減が見込まれます。
複合発酵とは、毒性がある窒素化合物を効率的に分解できると期待されている発酵技術で、塩素などの化学物質を使用せず汚水を通常より高いレベルまで浄化できるだけでなく、水浄化の過程で問題になる悪臭や汚泥の発生も抑制できます。再生水を農業用液肥として利用することで、水資源を地下ダムや地下水のみに頼る宮古島の土壌や海洋環境の改善、生物多様性の保全、さらには市民の健康増進につながるものとして期待されています。今後は、宮古島の水問題や環境改善へ寄与するとともに、水不足などの課題を抱えている発展途上国を中心とした海外展開も目指し、SDGs目標達成に貢献していきます。

まいぱり水循環実証実験
まいぱり水循環実証実験

複合発酵設備付き20ftコンテナ(左側手前は既存排水浄化槽)
複合発酵設備付き20ftコンテナ (左側手前は既存排水浄化槽)

特別賞 社会貢献分野 3件

インターネットケーブルモデム 再用の取り組み

イッツ・コミュニケーションズ株式会社

イッツ・コミュニケーションズでは、お客さまから返却されるインターネットケーブルモデムを、動作に不具合がないことを確認した上で傷や汚れなどを除去し、再利用しています。効率よく再生しリユース率を高めることで廃棄モデム数を削減してきました。半導体不足によりモデム調達が困難な時にも、再生モデムを活用することでサステナブル経営に貢献しました。
昨年度からは、この再生業務を、障がい者就労支援を行う会社に委託させていただきました。一つ一つ丁寧に作業することを得意とする障がい者の方々に機器の清掃作業を中心にお願いし、動作検証等の業務のみを自社で行うように分担して同時進行で作業したことで、再生台数が大幅に増加(再生率:2021年度77%⇒2022年度90%)し、運用面・コスト面ともに大きく貢献する結果となりました。
 障がい者の方々が働く施設の職員の皆さまからは、就労移行支援の一環(職業適性の確認、協調性・集中力・主体性の育成など)としても活用していただいていると伺っています。また、障がい者の皆さまからも、「やりがいがある」「作業が楽しい」などのお声もいただいています。
今後は、ケーブルテレビやIP電話などその他のサービス端末でも再生機器の活用を検討しており、委託させていただく業務範囲を広めていく予定です。

※作業や実習を通して、一般企業での就職を支援する

傷や汚れを除去した再生モデム 
傷や汚れを除去した再生モデム 

障がい者支援施設での作業の様子
障がい者支援施設での作業の様子

こども達のための「職場見学会」「進路懇談会」

東急住宅リース株式会社

東急住宅リースでは、心身機能や身体構造上の問題で日常的な活動に課題や制限があり、社会的な活動への参加が困難、または経験が乏しい「こども(高校生)」を対象にした「職場見学会」と「進路懇談会」を実施しています。毎回、当社が雇用している障がい者雇用者(「メンバー」)3名ほどを選出し、プロジェクトチームを立ち上げ、メンバー同士で協力して資料作成や講師を務めています。実施される会では、メンバー自らの実体験に基づいて、仕事をする上で必要な基本、意識、ビジネスマナーなどを説明。事務所見学や実際の作業の体験も行っています。
参加した高校生たちからは「自分自身と向き合って考えるきっかけになった」との感想も聞かれ、教職員、支援者、保護者からも高く評価されています。また、メンバーにとっても、サポートする側になることで、他者への貢献意識やチームワークを理解し、通常業務とは異なる達成感や自己効力感の高まりも得られています。未来ある子どもたちを支援することで、メンバー自身の成長にもつながる取り組みとして、今後も継続・実施していく予定です。

プロジェクトチームと参加者たち
プロジェクトチームと参加者たち

職場見学会の様子
職場見学会の様子

産官学で取り組む岡山道路パトロール隊

世紀東急工業株式会社

岡山県内で道路維持工事に従事している世紀東急工業は、施工エリア内の県立工業高校や道路管理者と産学官連携で、高校生に授業の一環として道路をパトロールしてもらい、世紀東急工業と協働でメンテナンス作業を行う「岡山道路パトロール隊」を結成、活動を続けています。2012年に起きた「中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故」をきっかけに、岡山県内の土木系工業高校でインフラメンテナンス活動が始まったことから、インターンシップなどで当社と交流があった県内の工業高校の先生の提案で、2017年に生徒によるパトロールを始めました。その後、岡山県内の2つの工業高校とも連携して、2018年に現在の「岡山道路パトロール隊」が発足。パトロール隊の生徒たちは、年間計画に基づき、徒歩でパトロールを実施し、その際に発見した異常や破損は、スマートフォンを利用した「クラウド型道路パトロール支援サービス」で報告することで、スムーズなパトロール活動を実現しています。
この取り組みが、社会貢献だけでなく、建設業の担い手育成や道路の維持管理の効率化、学生のやりがい意識向上など、関係者それぞれの課題解決と、建設業全体の活性化につながればと考えています。

産官学「三方良し」の関係
産官学「三方良し」の関係

スマートフォンを用いた「クラウド型道路パトロール支援サービス」
スマートフォンを用いた「クラウド型道路パトロール支援サービス」