水資源

課題認識と対応方針

当社および連結子会社では、水資源は生物の存在に不可欠な貴重な資源の一つで、世界ではその不足が深刻化し、国内においても地域によっては安定・安全な水の確保にリスクが存在することを認識し、各事業エリア固有の状況に応じた使用総量の削減や使用方法に適した再生水の活用、適切な排水処理を行い、水資源の保全に取り組みます。

取り組み目標と達成状況

当社では、「環境ビジョン2040」に掲げる長期環境目標として、循環型社会の実現に向けては「ゼロ・ウェイスト社会に向け、顧客接点の多い事業特性を生かして資源循環・循環経済の輪に加わり、輪を広げる」として、2030年までに水使用量の収益原単位を20%削減、2035年までに25%削減、2040年までに30%削減(いずれも2019年度比)する目標を掲げています。なお、直近3年間の水使用量と収益原単位は以下のとおりです。

  単位 2030年度
目標
2035年度
目標
2040年度
目標
2019年度
(基準年)
2022年度
実績
2023年度
実績
2024年度
実績
水使用量 千m³ 8,497 7,061 7,112 7,340
営業収益 億円 9,965 9,313 10,378 10,549
収益原単位 千m³/億円 0.85 0.76 0.69 0.70
対基準年削減率 20%削減 25%削減 30%削減 10.6%削減 18.8%削減 17.6%削減

当社および連結子会社における環境情報データは、下記ページにて開示しています。

水の管理計画

当社では、「環境ビジョン2040」における削減目標達成のためのアクションとして、水の循環利用(雨水利用、新技術による中水活用、水循環への試験的取り組み)を定めており、各事業部門、連結各社において水削減計画を実施しています。「環境ビジョン2040」の取り組み全社的な節水の取り組みのほか、新規物件ではトイレやシャワーにおいて、節水型の設備の導入を推進するほか、可能な施設においては、雨水や中水の利用を行っています。

主な取り組み

当社では、水使用量の削減目標の達成へ向けて、「環境方針」および「環境ビジョン2040」 を踏まえた社内向け実務ガイドラインである「環境ビジョンガイドライン」を作成・公開し、「環境ビジョンガイドライン」に基づく節水施策を当社および連結会社の各拠点で展開し、各施設の特性に応じた節水活動を実践しています。「環境ビジョンガイドライン」では、取り組み目標や具体的なアクションの解説だけでなく、上水の節水や中水利用の促進など、水使用量削減に寄与する好事例を共有し、全社的な節水活動の徹底を働きかけています。

全社的な取り組み

節水の呼びかけー東急㈱ー

当社では、水使用量の削減目標の達成へ向けて、東急㈱ではトイレ利用時など、日常的な節水行動について全社的な呼びかけを行っています。

各事業部門・連結各社における取り組み

節水コマの設置、水量ねじの調整 ―東急ストア―

東急ストアでは、厨房に節水機器を導入することにより、水道水使用量の削減に努めています。この取り組みは節水だけでなく、CO₂排出量の削減にも貢献しています。各事業所の厨房に節水機器を導入し、水資源の保全とCO₂排出量の削減に取り組んでいます。この機器は、水と空気を混ぜ合わせて放出する「脈動流」技術により、高い洗浄力を維持したまま使用水量を大幅に抑制します。各厨房の作業に応じて水圧や水量の調節も可能で、環境負荷の低減を継続的に実施しています。

井水の利用

当社および当社グループでは、水使用量の削減目標の達成へ向けて、井水の利用による上下道利用量の削減に努めています。
2025年現在、以下の施設で導入しています。

施設名:名古屋東急ホテル、京都東急ホテル、伊豆今井浜東急ホテル、たまプラーザ テラス、東急中央林間ビル

雨水の利用

当社および当社グループでは、水使用量の削減目標の達成へ向けて、雨水の利用による上下道利用量の削減に努めています。
2025年現在、以下の施設で導入しています。

施施設名:東急キャピトルタワー、セルリアンタワー、渋谷ストリーム、二子玉川ライズ、Bunkamura,渋谷スクランブルスクエア

中水(排水・再生水)の利用

2019年11月に開業した大規模複合施設「渋谷スクランブルスクエア」では、水資源の有効活用と下水道施設への負荷低減を目的に水利用の低減につながる水資源に配慮した取り組みを行っています。
詳細は以下をご覧ください。

また、以下の施設でも中水の利用により、上水道利用量の削減に努めています。

施設名:JR東急目黒ビル、東急キャピトルタワー、セルリアンタワー、渋谷ストリーム、東急歌舞伎町タワー、東急博多ビル、渋谷ヒカリエ、二子玉川ライズ、Bunkamura、渋谷スクランブルスクエア、宮古島東急ホテル&リゾーツ

外部との協働の取り組み

当社、株式会社長大、東建産業株式会社の3社は、水資源使用量の削減を通じた循環型社会の実現を目指し、東急が渋谷で運営するオープンイノベーションラボ「SOIL(Shibuya Open Innovation Lab)」に、複合発酵技術を活用した水循環システムを2025年から導入しました。沖縄・宮古島での2年の共同実証を経て、その結果、安定的な稼働と高い汚水処理能力を確認できたことから、本導入に至りました。SOILでは、トイレやキッチンなどから排出される汚水を複合発酵設備で浄化し、トイレ洗浄用水として再利用します。これにより、新たな上水の使用量を削減し、施設全体としての水資源使用効率を高めることが可能となります。浄化にあたっては、生物処理(複合発酵技術)を活用して残留性のある化学薬品を一切使用せず、微生物の働きによって再利用可能な水まで浄化することで、環境に優しい排水処理を実現します。今回の取り組みを通じて、複合発酵技術を活用したシステムの運用スキームを確立し、今後は東急線沿線をはじめとしたさまざまなエリアの施設へ導入を拡大することで、循環型社会の実現に貢献してまいります。


<SOILに導入した複合発酵設備>


<水循環システム構成図>

東急財団による取り組み

1974年、東急の事業地域の中心を流れる多摩川流域の環境浄化を図ることが企業としての重大な責務であると考え、多摩川の水質調査・研究者への研究費助成を行う「とうきゅう環境浄化財団」(現:公益財団法人東急財団)を設立しました。(2022年度まで、学術研究・一般研究を対象に1,332件、総額15億4千万円を助成)2024年度より民間非営利団体(NPO/NGO、任意団体等)の活動と研究者・研究機関(団体)の研究の協働が深まることを期待した助成にリニューアルしております。
また、環境学習副読本「ようこそ多摩川へ」を制作し、多摩川流域の小学校に毎年無償配布しています。この副読本は、さまざまな生き物を育み、流域の人々に恵みをもたらしてくれる「多摩川」に対し、子どもたちが知識と親近感を持つことを目的に、小学校での授業や課外活動で使用することを想定して制作しました。2024年度は、多摩川流域の小学校95校に8,183部を配布しました。

事業拠点における水リスクの把握

全般的な水リスク

当社では連結子会社を含む事業拠点における水ストレスレベルの高い地域を特定するために、WRI(世界資源研究所)が開発したWRI Aqueductツールを用いて、国内外全ての事業拠点の水ストレスレベルを定量化し、水ストレスの高い地域を特定しました。
水の全般リスクでは、大部分の事業拠点でMedium-high以上の水リスクレベルに該当はなく、当面は水リスクに大きな懸念はありませんが、水使用の効率化を図りつつ、モニタリングを継続しています。

水リスク
(OVERALL RISK※1
拠点数
(水使用)
割合 2024年度
取水量 排水量
0-1 Low 54 6.1% 572千m3 570千m3
1-2 Low-Medium 821 93.4% 6,564千m3 6,606千m3
2-3 Medium-High 1 0.1% 46千m3 46千m3
3-4 High 3 0.3% 158千m3 158千m3
4-5 Extremely high 0 0.0% 0 0
合計 879 100% 7,340千m3 7,380千m3

※1 OVERALL RISK:水ストレス・枯渇・季節変動・河川洪水・干ばつ・未処理排水・衛生設備など各項目合算の全般リスク

水ストレス高リスク拠点と取水量

WRI(世界資源研究所)が開発したWRI Aqueductツールを用いて特定した水ストレスレベルが高リスク(>40%)拠点と水使用量は以下の通りで、著しく高リスク(>80%)拠点はありませんでした。2023年度の取水量を100%とした場合、水ストレスレベルが高リスク拠点の取水量は全体の0.5%を占めます。

    2024年度
高リスク
(40-80%)
拠点数 2
水使用量(千m3 48
著しく高リスク
(>80%)
拠点数 0
水使用量(千m3 0

「水ストレス」リスクが高い海外の2拠点(オーストラリア・ヤンチェップとタイ・シラチャ)の事業運営では、水利用の効率化を図るとともに、引き続き社外のステークホルダーと協議・対話を行い、適切な水利用に努めて参ります。

水資源に関する法令違反

当社および連結子会社では、2024年度において水資源の利用、水質、使用量などに関する法規制や基準に抵触する違反はありませんでした。

水資源に関する研究開発

当社における、水関連のリスクを軽減するための研究開発への投資は以下のとおりです。

2024年度:合計12百万円

水資源に関するシャドウコスト

当当社では、TCFD提言に基づき、移行リスク・物理リスクを特定しています。気候変動による水害によるリスク評価および想定影響度については以下の通りです。

分類 重要なリスクの内容 対象期間 事業区分 影響度
交通 不動産 生活サービス ホテル·リゾート
移行リスク
(1.5℃シナリオ)
水害多発エリアからの顧客の流出、資産保有気運の低下 短·中·長期 O
物理リスク
(4℃シナリオ)
災害激甚化(水害含む)に伴う施設被害によるサービス停止、回収コスト増加、顧客流出·現象、保険料増加 短·中·長期 O O O O

影響度 大:50億円以上、中:50億円未満、小:10億円以下

【事務局】株式会社ディ・エフ・エフ, 【事務局】東急株式会社 社長室 ESG推進グループ 企画担当①, 東急株式会社 社長室 ESG推進グループ 企画担当②, 東急株式会社 社長室 ESG推進グループ 社会活動推進担当, 東急株式会社 社長室 ESG推進グループ コンプライアンス・CS担当