Sustainability サステナビリティ

働きがいも経済成長も


交通インフラでのテクノロジーの活用

交通インフラにおけるテクノロジーの活用

特に関連するターゲット:

  • 8.2 多様化・技術革新・イノベーションを通じた高い生産性

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • 安全・安心
  • まちづくり

鉄道保守業務のDXと高度化を推進「鉄道版インフラドクター」

安全の確保が何よりも重要な課題である鉄道事業では、設備の日常的な保守・点検作業は欠かせません。鉄道建築物や土木構造物に関する保守作業のうち、建築限界検査やトンネルの特別全般検査は、主に終電後の夜間時間帯に技術者による目視や計測などにより実施してきました。特に、トンネルの特別全般検査においては、現地に足場を組み立てて高所を含めた全ての部位を近接目視で検査を行い、異常が疑われる箇所の打音調査などの実施、検査結果の変状展開図の作成など、多くの人手が必要となり、検査精度のバラつきや技術継承、技術者不足、検査費用の増加などが課題となっていました。

そこで、首都高技術、朝日航洋、エリジオンの3社が共同で開発した道路維持管理システム「インフラドクター®」をこれらの鉄道保守作業に応用したものが「鉄道版インフラドクター」です。レーザースキャナーによる3次元点群データと高解像度カメラの画像データを取得し、解析を行うこのシステムを、東急電鉄は2021年9月に導入し、建築限界検査およびトンネルの特別全般検査のDX化を図りました。これにより、検査作業の効率化、検査精度の向上や技術継承支援につなげるとともに、検査費用は最大で約3割減少を目指し、鉄道維持における固定費削減に貢献します。

通常の電車と同じ速度で走りながらレールや電線を点検「TOQ i(トークアイ)」

鉄道版インフラドクターの導入より以前の2012年に総合検測車TOQ iが登場し、安全を守る保守作業の高度化に成功しています。TOQ iは、電車に電気を供給する電線(トロリー線)などの電気設備を検測する電気検測車と、レールなどの線路設備を検測する軌道検測車を連結した事業用車両で、東急線全線とみなとみらい線の点検を行っています。TOQ iの愛称は、公募の中から選ばれ、親しみを込めてその名が付けられました。通常の列車と同じ速度で走りながら検測することにより、お客さまを乗せた営業運行の合間に走って点検をすることができる他、測定精度も向上し、ハイビジョン画質での映像の録画もできる機能を搭載しました。これにより、測定結果を解析することでチェックすべき箇所を特定することができ、作業の高度化に貢献しています。

TOQ i

地域交通のサステナビリティを高める自動運転バス

 当社は、静岡県が実施する自動走行実証事業「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」の事業受託者に選ばれ、自動運転バスの実証実験に取り組んでいます。地域交通の運転手不足や、過疎地域などでの高齢者の移動支援といった課題に対し、自動運転などの最新技術を用いた実証実験を展開し、地域の交通事業者が新たなモビリティサービスを展開、社会実装することを目的としています。

2020年12月に、伊豆高原駅付近に複数台の自動運転車両を監視・操縦可能な「遠隔コントロールセンター」を設置し、運行する車両の遠隔監視・操縦技術を検証する実証実験を行いました。2021年度には、賀茂郡松崎町、伊東市、沼津市、掛川市の4都市での遠隔監視と複数台の車両の遠隔操縦に取り組み、遠隔コントロールセンターの高度化を進めました。これらの技術を活用し、バス路線の維持が困難な過疎地域、駅から観光地へのラストワンマイルといった地域交通課題の解決に向けた検証を行うとともに、自動運転車両の観光地コンテンツとしての運行による地域活性化も目指していきます。

また、2022年9月には、東急バスと共同で横浜市青葉区での実証実験を開始し、沿線における郊外住宅地の移動手段としての可能性も検証しています。

自動運転車両
遠隔コントロールセンター

伊豆と北海道の活性化に貢献するTHE ROYAL EXPRESS

特に関連するターゲット:

  • 8.9 雇用創出、地方の文化振興・産品販促に繋がる持続可能な観光業

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • まちづくり

伊豆の活性化と新たな旅の提案

当社と伊豆急行は、JR横浜駅と伊豆急行線伊豆急下田駅を結ぶ観光列車「THE ROYAL EXPRESS」を運行しています。先端技術から生まれる素材や工法に伝統的な素材と、職人の技を組み合わせた上質な空間で、目的地に向かうだけではない豊かな時間を提供し、お客さまの記憶に残るオンリーワンの「美しさ、煌めく旅。」へご案内します。

ご乗車前におくつろぎいただける「THE ROYAL LOUNGE YOKOHAMA」の他、下田・寝姿山山頂には下田湾や伊豆七島を望むレストラン「THE ROYAL HOUSE SHIMODA」を設置するとともに、寝姿山に登る下田ロープウェイのリニューアルも実施し、地元の方々、東急グループ各社と連携し、新たな旅をご提案することで、伊豆の魅力を国内外に発信しています。旅行プランは、お食事、宿泊、観光などがセットになったクルーズプランや、食事付き乗車プランなど、季節に合わせたプランをご用意しています。伝統文化も含めて伊豆が持つ素晴らしさをお伝えすることで、伊豆に関心を持ち訪れる人が多くなり、地域がもっと輝けるようなサイクルをつくるべく、今後も地域と一体となって旅の舞台を創っていきます。

THE ROYAL EXPRESS~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~

「THE ROYAL EXPRESS」は、夏季を中心に北海道での運行も行っています。2019年2月に北海道胆振東部地震の影響を受けた北海道を応援するため、JR東日本、JR貨物とプロジェクトを立ち上げ、観光振興と地域活性化に貢献しています。札幌を出発し、帯広・十勝、釧路・知床、オホーツク・北見、旭川・美瑛・富良野の4エリアを巡り、観光資源を体感できるコースを運行し、観光列車を訴求力のある旅行商品に仕上げることで、北海道の観光資源の魅力発信を行っています。

2022年からは、自然、大地とより触れ合っていただき、ゆったりとした滞在時間をお過ごしいただく「HOKKAIDO CRUISE LIMITED」プランもご用意した他、2024年1月には、「SHIKOKU SETOUCHI CRUISE TRAIN」として、四国地方でも運行を行う予定です。

「THE ROYAL EXPRESS」は、運行する地域の方々とともに地元の魅力を引き出し、お客さまの素敵な旅を創出することにチャレンジしていきます。

イノベーションを起こす新しい働き方とスタートアップ支援や事業共創

特に関連するターゲット:

  • 8.2 多様化・技術革新・イノベーションを通じた高い生産性

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • ひとづくり
  • まちづくり

当社は、新しい働き方のご提案やスタートアップ支援や事業共創を通じて、多様性の促進やイノベーションの推進を行っています。これらを通じて、日本社会全体の経済生産性を向上させるとともに、技術革新を後押しし、近職住などの新しいライフスタイルをご提案します。

サテライトシェアオフィスNewWorkとrelark

NewWorkは、当社が運営する法人向け会員制シェアオフィスです。東急線沿線のみならず、全国の主要都市などに直営店と提携店を展開しており、業界最大規模の店舗数を誇ります。全国に店舗ネットワークを整備することで、新しい働き方とワークライフバランスの実現に貢献します。NewWorkは、当社がイノベーション人材の育成を目的に取り組んでいる「社内起業家育成制度」において実現した第1号案件で、新型コロナウィルスの感染拡大以前より、働き方の多様化に合わせた柔軟な執務環境の提供を目的に2016年5月に事業化されたものです。NewWorkは、ご契約いただいた法人にお勤めの方が対象ですが、2021年2月より、個人利用者向けのリラックスワークラウンジrelarkたまプラーザも営業を開始しています。

東急グループがイノベーションを後押しする東急アライアンスプラットフォーム

東急アライアンスプラットフォームは、「共に、世界が憧れる街づくりを。」をコンセプトに、スタートアップを中心とした企業の皆さまと事業共創を推進するオープンイノベーションプラットフォームです。多事業領域を展開する東急グループが抱える経営課題や、まちづくりにおける課題は多岐にわたります。サステナブルなまちづくりの実現に向けて、オープンイノベーションの重要性が一層増しています。東急アライアンスプラットフォームでは、東急グループが持つ幅広い顧客接点やアセット、ノウハウなどを活用した事業の創出と変革を通じて社会課題を解決し、「東急ならではの社会価値提供による“世界が憧れる街づくり”の実現」を目指します。

2021年度に実施したDemo Dayで最優秀賞である東急賞を受賞したパンフォーユー社は、独自の冷凍技術とITを活用することでパンの賞味期限を長くし、食品ロス削減への貢献や、パンを焼く時間の制約をなくすことにより、パン屋さんの働き方改革につながるといったサステナブルな点で東急グループとの親和性が高く、東急電鉄、東急レクリエーション、東急グルメフロント、東急リゾーツ&ステイの4社との事業共創を実現しました。

2022年度のDemo DAYでは、株式会社クラダシが東急賞を受賞。同社は、まだ食べられるにも関わらず捨てられてしまう可能性のある商品などをお得な価格で販売する、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営しています。これまで、当社グループの4つの商業施設で「Kuradashi」POPUP SHOPを開催したほか、たまプラーザテラスでは「Kuradashi」初となる常設店舗を出店しました。

東急アライアンスプラットフォームの前身、東急アクセラレートプログラム時代から過去7年間で延べ954社からのエントリーと94社のPoCやテスト導入、うち31件の事業化や本格導入、うち7社との業務・資本提携を実現しました。(2022年8月末時点)

SHIBUYAでのイノベーション推進

当社の最重要拠点である渋谷においては、イノベーションを促進するため、「場」の提供のみならず、産・官・学・民が協働するプロジェクトなどに参画しています。

渋⾕を中⼼としたグローバルイノベーション拠点の形成と、国内産業界のオープンイノベーションの加速を⽬的に、2019年7月には先端サービス・プロダクトの社会実装に特化したオープンイノベーション施設「SOIL(Shibuya Open Innovation Lab)」を開設しました。また、多様な人たちが交差・交流し、社会価値につながるアイデアや新規事業を生み出すことを目指した、渋谷スクランブルスクエアの共創施設「SHIBUYA QWS」では、開業以来、まだ世の中にない新しい社会価値の創出に挑戦する160のプロジェクト(2022年9月現在)を支援してきました。

2020年8月には渋谷区と当社は「グローバル拠点都市の形成等に関する包括連携協定」を締結しました。スタートアップ・エコシステムのさらなる発展、文化発信と産業振興を推進し、渋谷の街の国際競争力を高めることで、世界を代表する海外都市として、グローバル拠点都市の形成を目指します。

他にも、渋谷区と民間企業によるコンソーシアムShibuya Startup Deck(通称「シブデック」)に、幹事企業として参画しています。渋谷区や他の会員企業と共に、誰もが新しいことに挑戦しやすい環境づくりや渋谷のスタートアップ・エコシステムのさらなる発展に寄与していきます。