Sustainability サステナビリティ

住み続けられるまちづくりを


住み続けられるまちづくりを​

すべてのお客さまが安全・安心に利用できる交通ネットワーク

特に関連するターゲット:

  • 11.2 全ての人々が安全かつ安価で容易に利用できる持続可能な輸送システム

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • 安全・安心
  • まちづくり

東急線沿線の交通ネットワーク

東急電鉄は、東横線や田園都市線などの鉄道路線と、軌道線の世田谷線計9路線110.7kmを運営し、東京都南西部から神奈川県東部にかけて路線網を拡大、更に様々な路線との相互直通運転を進め、ご利用いただくお客さまの利便性向上を図っています。2023年3月18日の相鉄・東急新横浜線の開業により、神奈川県央地域及び横浜市西部から東京23区西部、東京多摩北部、埼玉中央地域・西部地域に至る7社局14路線を結ぶ広域鉄道ネットワーク形成されることで、地域間の連携と活性化が図られ、各地域のさらなる発展に貢献しています。

この東急線の各駅を中心に発着し、2次交通としての機能を果たすのが東急バス・東急トランセのバス路線です。両社は、東急線沿線を中心に全12営業所を構え、郊外の住宅地などへきめ細かい路線運行を行っており、東急線と併せた広範な交通ネットワークを形成しています。

安全の確保は全ての事業の根幹

東急電鉄は、鉄道事業者として、安全の確保を何よりも優先しております。安全管理の体制や方法を定めた「安全管理規程」を基に、経営トップから現場第一線の従業員まで一体となった安全管理体制を構築しています。また、輸送の安全に関する理念、原則を「安全方針」とし、安全確保に向けた課題を解決するために達成すべき目標を定め、優先して行う取り組みを「安全重点施策」として定めています。東急バス・東急トランセでも同様に定め、運輸安全マネジメントを確立しています。

安全・安心への取り組み

全てのお客さまが安全・安心にご利用いただける交通インフラを目指してさまざまな取り組みを行っています。ホーム上のバリアフリー化および安全対策として、2020年3月に大手私鉄初となるホームドア・センサー付き固定式ホーム柵の100%設置を実現しました(世田谷線とこどもの国線を除く)。これにより、ホームにおける転落件数は10分の1程度まで減少し、お客さまの安全を守るとともに線路転落などの輸送障害による運転支障時分の低下など、安定運行にも大きな効果を発揮しています。ホームだけでなく、踏切においても、全ての踏切に障害物検知装置を設置し、踏切事故防止を図っています。
さらに、当社所属車両は全車両に車内防犯カメラを設置している他、駅係員と併せて東急セキュリティの警備員が巡回・立哨することで、鉄道施設内でのテロや犯罪も防止にも努めています。

また、女性やお子さまにも安心してご利用いただけるよう、平日の朝の時間帯に東横線と田園都市線で女性専用車の運用も行っている他、東急線全駅においてバリアフリールートも確保しております(バリアフリーへの取り組みについては、「10番:人や国の不平等をなくそう」でご紹介しています)。東急バス・東急トランセでも、ノンステップバスやリフト付きバス、スロープ付きバス、乗降時に車体が傾斜するシステムの導入を行っています。加えて、お子さまや障がいをお持ちのお客さま、ご高齢のお客さま向けに、東急セキュリティの「エキッズ」をご提供しています。「エキッズ」は、お客さまの東急線駅自動改札の通過情報や東急バスの乗車情報がご家族さまの携帯電話等に配信される見守りサービスです。

これら、ハード面、ソフト面およびマネジメント面において、全てのお客さまの安全・安心を追求しています。

地方創生を支える地方の交通インフラ

特に関連するターゲット:

  • 11.2 全ての人々が安全かつ安価で容易に利用できる持続可能な輸送システム
  • 11.a 都市、都市周辺、農村の繋がり

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • 安全・安心
  • まちづくり

当社グループの地方交通インフラ事業

当社グループは、東急線などの都市交通インフラのみならず、地方における鉄道、バス、空港などの交通インフラを運営しており、地方創生や地域経済の活性化に貢献しています。また、東急グループ各社との連携を通じて、東急線沿線をはじめとした都市部と地方都市の人流創出するなど、定住人口のみならず、交流人口を生み出す取り組みも行っています。コロナ禍に伴うリモートワークの定着など、沿線住民の行動変容により、厳しい状況が続いていますが、今後も事業を継続することで、地域に貢献していきます。

伊豆とともに生きる伊豆急行線

伊豆急行は、静岡県伊豆半島東海岸を走る伊豆急行線(伊東駅~伊豆急下田駅)45.7kmを運営しています。伊東駅では、JR線と接続しており、都心方面から特急踊り子号、サフィール踊り子号が終点の伊豆急下田駅まで乗り入れている他、横浜駅からは当社が運営するクルーズトレイン「THE ROYAL EXPRESS」も運行しており、都心からのアクセスの向上と、「美しさ煌めく旅」を提供しています(「THE ROYAL EXPRESS」については、「8番:働きがいも経済成長も」で詳しくご説明しています。)特急列車以外でも、伊豆七島を望む海岸線の景色を楽しんでいただけるよう、海側の座席が窓向きとなっている車両やクロスシートになっている車両も運行しており、沿線の皆さまにも観光客の皆さまにもお楽しみいただけるよう工夫を施しています。

長野県上田市にあるローカル線上田電鉄別所線

上田電鉄は、長野県上田市において、別所線(上田駅~別所温泉駅)11.6kmを運営しています。上田駅では、北陸新幹線やしなの鉄道線と接続しており、各社連携して長野県東部の活性化に貢献しています。別所温泉は、信州最古の温泉とも言われ、沿線には温泉の他、国宝や重要文化財などの歴史的建造物も多くあり、「信州の鎌倉」とも呼ばれています。別所線は、沿線住民の皆さまや、行政、各種サポーター団体の皆さまの支えの下、運行を続けています。2019年9月、千曲川に架かる別所線の鉄橋が台風19号の影響で落橋するということがありました。当初は存続も危ぶまれましたが、政府、自治体や地元の皆さまのお力添えにより2021年3月に全線を復旧させることができました。今後も地域の方々や観光客の皆さまの足として走り続けます。

東北の空を、世界の空へ 仙台国際空港

当社グループは、長年培ってきた安全を基軸とした空港運営受託のコンソーシアムに参画しています。国管理空港民営化1号案件である仙台空港は、当社の他、東急不動産、東急エージェンシー、東急建設、東急コミュニティーなどの出資により、東急グループがパートナー企業や地域と一体となって空港運営事業に取り組んでいます。航空ネットワークの拡充や、2次交通を含めた交通ネットワークの集結によるマルチモーダルハブ化、東北の美しい四季や伝統文化、食の豊かさなど「東北ブランド」の発信を通じて、東北地方の活性化に貢献していきます。また、当社グループの安全・安心へのノウハウを生かし、安全・保安体制を確立するとともに、地域との共生と、持続的な成長を実現し、空港のサステナビリティを高めていきます。

パートナーシップで街の課題を解決!100年に1度の渋谷大改造

特に関連するターゲット:

  • 11.2 全ての人々が安全かつ安価で容易に利用できる持続可能な輸送システム
  • 11.3 包摂的、持続可能な都市化

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • 安全・安心
  • まちづくり

渋谷の歴史

渋谷は、東横線、田園都市線の起点駅であり、JR山手線や東京メトロ銀座線、副都心線、京王井の頭線などと接続するターミナル駅です。古くは、1885年に日本鉄道が開業させた駅で、1907年、後に東急グループとなる玉川電気鉄道(玉電)が開業、1927年には東横線が開業し、その起点駅となりました。1934年には東横線渋谷駅に隣接して東横百貨店を開業させ、現在のエキナカショッピングにもつながる新しいライフスタイルを提案しました。また、文化が人々の豊かな暮らしには必要との考えの下、1954年に渋谷初の大劇場「東横ホール(後の東横劇場)が入る東急会館、1956年に五島プラネタリウムが人気を博した東急文化会館、1979年にはSHIBUYA109、そして、1989年には美術館、シアター、コンサートホールからなるBunkamuraなどを開業させ、さまざまな文化や情報を発信する街として発展してきました。

渋谷が抱える街の課題

渋谷駅周辺は、JR線や国道246号線などにより東西南北に分断され、駅構内も各鉄道会社による移設や増改築によって複雑化していました。また、これらの駅施設や駅ビルも老朽化が進んでおり、加えて懸念される大規模地震などの自然災害に備えて、新たに耐震性の高いビルの建設や、帰宅困難者の一時滞在施設などの防災機能が求められてきました。また、すり鉢状の地形により、回遊しづらい点も長年の課題であり、気候変動に伴う集中豪雨などの水害の際、駅の地下などが浸水や冠水の被害を受けやすい問題もあり、自然災害へのレジリエンスの一層の強化が必要となっていました。

東横線渋谷駅の地下化・副都心線との直通運転の開始と渋谷ヒカリエ

インフラの脆弱性を克服し、居心地の良い街を実現するために、当社グループのみならず、東急不動産ホールディングス、JR東日本、東京メトロ、独立行政法人都市再生機構(UR)などの各社と国、東京都、渋谷区など官民が連携して再開発に取り組んでいます。渋谷の大規模開発が始動するきっかけとなったのは、2000年に東京メトロ副都心線と東横線の相互直通運転について検討を開始したことです。2013年には東横線渋谷駅を地下化し、副都心線を介して、西武鉄道や東武鉄道との相互直通運転を開始。神奈川県から埼玉県に至る一大鉄道ネットワークを形成するとともに、2012年に東急文化会館跡地に建設した渋谷ヒカリエと地下4階で接続し、「アーバン・コア」を通じて地上へのアクセスも改善されました。渋谷ヒカリエは、時代を先取りするライフスタイルを提案し続けた東急文化会館のDNAを受け継ぎ、ショッピングエリアやオフィス劇場をはじめとする文化拠点などを配した新たな文化の発信拠点となっています。

旧東横線渋谷駅、線路跡地および周辺敷地の開発と渋谷ストリーム、そして渋谷スクランブルスクエア

東横線の地下化に伴い、渋谷駅および渋谷~代官山間の地上部の撤去が行われ、跡地の開発が次々と進みました。2015年には、代官山駅近くに線路跡地ならではの散策路を有する商業空間「ログロード代官山」が開業。2018年には、保育所、ホテル、店舗、オフィスなどを配し、多世代・異文化をつなぐ「渋谷ブリッジ」が、そして、旧東横線渋谷駅を記憶として残すべく、高架橋をデッキに再利用し、駅舎のアイコンだったかまぼこ屋根をデザインに採用し、オフィスやホテル、商業ゾーンのほか、イベントホールが内包された「渋谷ストリーム」が開業しました。渋谷ストリームは、官民連携の下、清流復活水を活用した「壁泉」によって再生された渋谷川に面しています。官民連携により、広場と渋谷川沿いの遊歩道「渋谷リバーストリート」を整備し、特徴ある魅力的な都市環境を提供しています。また、渋谷ストリームには地下と地上で渋谷駅とダイレクトに接続するアーバン・コアも設けられ、上下移動の改善が図られました。

そして、2019年には、渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)が開業。渋谷駅とつながるアーバン・コアの整備により、回遊性が向上しました。渋谷スクランブルスクエアと宮益坂方面は、2階レベルの歩行者デッキに加え、4階レベルでも接続され、よりスムーズに移動することができるようになります。また、第Ⅰ期(東棟)は渋谷で最も高い地上47階建てで、高さ約230mに位置する屋上展望施設「SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)」は、国際都市渋谷の新たな観光の目玉となっています。第Ⅱ期は、2027年度の開業を予定しており、現在のJR渋谷駅の直上に中央棟と、東急百貨店東横店の跡地周辺に西棟を計画中です。第Ⅱ期が完成すると、渋谷スクランブルスクエア全体での商業施設面積は約7万㎡になり、広大な商業エリアが生まれる予定です。

なお、渋谷スクランブルスクエアの建設とともに行われた渋谷駅街区土地区画整理事業において、共同施行者である当社と独立行政法人都市再生機構は、近年増加している集中豪雨に備え、渋谷駅東口雨水貯留施設の整備を進め、2020年8月に整備完了、供用を開始しました。渋谷駅東口雨水貯留施設の詳細は、「13番:気候変動に具体的な対策を」をご覧ください。

提供:渋谷スクランブルスクエア
提供:渋谷スクランブルスクエア

渋谷の未来に向けてGreater SHIBUYA2.0と今後の開発

2021年7月に当社および東急不動産は、渋谷駅周辺・広域渋谷圏のエリアにおいて、東急グループならではの社会価値提供による、持続性のある街を目指し、渋谷まちづくり戦略“Greater SHIBUYA2.0”を発表しました。これまで掲げてきた「エンタテイメントシティSHIBUYA」と「広域渋谷圏(Greater SHIBUYA)構想」をより強化していくことに加え、「働く」「遊ぶ」「暮らす」の3要素の融合と、その基盤となる「デジタル」「サステナブル」を有機的につなげることで、「自分らしい生き方」や「人・自然・社会が調和した豊かさ」が実感できる「渋谷型都市ライフ」の実現を目指します。

今後開業予定のプロジェクトとしては、2027年度開業予定の渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)のほか、渋谷ヒカリエに隣接し、渋谷駅東口エリアの新たなにぎわい創出を目指す渋谷アクシュ(2024年度上期開業予定)、施設を訪れる方がいやしを感じる緑豊かな空間を設け、都会の喧騒の中で安らぎとくつろぎを提供する「Shibuya Upper West Project」(2027年度竣工予定)などがあります。当社グループが渋谷において長年培ってきたまちづくりノウハウやイニシアチブを生かし、各プロジェクトを推進していきます。まちづくりを通じて事業成長と社会課題解決を両立する渋谷再開発に今後もご期待ください。

©渋谷二丁目17地区市街地再開発組合
©渋谷二丁目17地区市街地再開発組合
Shibuya Upper West Project外観イメージ Image by Proloog / Copyright:Snohetta
Shibuya Upper West Project外観イメージ
Image by Proloog / Copyright:Snohetta

「職住遊」を機能的に配置した面的なまちづくり

特に関連するターゲット:

  • 11.2 持続可能な輸送システム
  • 11.3 包摂的、持続可能な都市化
  • 11.7 緑地や公共スペースへアクセス

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • 安全・安心
  • まちづくり

当社グループのまちづくりは、当社の源流である田園都市株式会社が手掛けた田園調布・洗足の開発に始まります。田園調布株式会社のまちづくりは、単なる宅地開発ではなく、都心への人口集中に起因する社会課題を、緑豊かな郊外での暮らしを提案することで、解決に導くものでした。また、その後の東急多摩田園都市の開発などにおいても、街の社会課題に向き合い、交通をはじめとした生活インフラやサービスと一体となったまちづくりを進めてきました。その歴史の中で育んできた「沿線で築き上げた信頼と連携ノウハウ」「交通・開発・生活サービス一体の住み続けたい街づくり」「長期視点での面的開発」などの強みを生かし、SDGsにも通じるサステナブルなまちづくりを進めています。

職住近接を実現した複合型開発「二子玉川ライズ」

都市が持続的に発展するためには、価値観やライフスタイルの多様化に対応し、人を惹きつける個性的・魅力的な街が連なる都市構造の実現が欠かせません。その実現には、それぞれの都市・街が有する独自の資源を最大限に生かして魅力を高めると同時に、「職住遊」機能を持たせること、そして地域から生まれる経済が地域内で循環する状況をつくることが重要です。

二子玉川ライズは、田園都市線・大井町線二子玉川駅周辺において、「水と緑と光の豊かな自然環境と調和したまちづくりを行い、日本一働きたい街を目指す」をコンセプトとした再開発プロジェクトです。「働く」機能として大規模オフィスを誘致し、街の就業者数を約1万人増加させるとともに、「訪れる」機能として日本初上陸の店舗や、最新設備を備えた世田谷区初のシネマコンプレックスの導入などを行った二子玉川ライズ・ショッピングセンター、「住む」機能として東急不動産と共同で42階建ての「タワーイースト棟」を中心に5棟(1,033戸)を建設した二子玉川ライズタワー&レジデンスなど「職住遊」機能を備え、商業やオフィス、公共施設、住宅を集積させた高密度でコンパクトな複合機能都市を整備しています。また、エリア全体の建物や道路などのインフラ設備において、省エネ機器や再生可能エネルギーを採用し、エネルギー、CO₂排出の削減にも取り組んでおり、このような取り組みが評価され、2015年に世界初となる国際的な環境認証制度「LEED ND(まちづくり部門)」のゴールド認証を取得しました。なお、二子玉川ライズでは、多摩川などの自然環境を生かした生物ネットワークの構築にも貢献しています。生物多様性に関する取り組みについては、「15番:陸の豊かさも守ろう」をご覧ください。

官民連携による駅・商業施設・公園が一体となった「南町田グランベリーパーク」

南町田グランベリーパークは、「まちのぜんぶが“パーク”となる」をコンセプトに、町田市との連携により、駅から商業施設、公園、周辺地域までがシームレスにつながる歩行者ネットワークを整備し、自然とにぎわいの融合を目指して再編した街です。田園都市線南町田駅は、隣接する商業施設「グランベリーパーク」や鶴間公園と融合した開放的な駅空間にリニューアルし、エスカレーターやホームドアを設置して、安全性と利便性の向上を図るとともに、駅名も「南町田グランベリーパーク駅」に改称の上、急行停車駅となりました。

また、駅構内における効率的な雨水の再利用やグリーンインフラを生かしたランドスケープデザインなど、環境や気候変動に配慮した取り組みが評価され、国際的な環境認証制度「LEED NC(新築部門)」「LEED ND(まちづくり部門)」のゴールド認証を取得しました。駅舎建築物としてのゴールド認証の取得、駅舎を含む開発エリアのゴールド認証の取得ともに、国内初です。なお、気候変動に関する取り組みについては、「13番:気候変動に具体的な対策を」をご覧ください。

「nexus構想」

当社は、多摩田園都市エリアにおいて、生活者起点で取り組む新しいまちづくり「nexus構想」を掲げています。「nexus(ネクサス)」とは、つながり・連鎖を意味しており、企業や行政との協働により、循環型のコミュニティや地域ネットワークを構築し、生活者一人ひとりの自由で豊かな暮らしを実現するための活動に取り組みます。本構想では、東急線沿線郊外の多摩田園都市をnexus構想エリアと位置付け、住む・学ぶ・働く・遊ぶといった生活が自然や農と融合する、「歩きたくなるまち」への進化を目指します。

本構想の第1弾として、さまざまな実証実験に取り組む拠点となる「nexusチャレンジパーク早野」を2022年4月に開業しました。

今後さらに、エネルギー、資源循環、モビリティ、ウェルネス、教育、農と食といったサステナブルテーマを定め、実証実験や事業化を段階的に展開していきます。

公的不動産を活用した価値創造

当社は、国や地方自治体との連携により、公園などの公的不動産を活用した事業を通じた当該不動産およびエリアの価値や社会価値の創造に取り組んでいます。

当社を代表企業とする「しぶきたパートナーズ」は、渋谷区初のPark-PFI事業「渋谷区立北谷公園」の指定管理者となり、2021年4月に開園ならびにカフェを開業しました。従前は、自転車やバイクの駐輪、短時間の休憩利用が主だった北谷公園ですが、今後は、植栽や公園施設の維持管理を行い、日常的な憩いの場として安全・安心な公園環境を提供するとともに、公園の情報発信、イベント企画・誘致など公共空間運営を含めたトータルマネジメントを実施します。

また、当社および東急不動産、石勝エクステリア、東急コミュニティーは、東京都が実施するPark-PFI事業「代々木公園整備・管理運営事業」の認定計画提出者に決定し、2022年5月より既存建物の解体工事に着手しました。緑あふれる代々木公園や、これまでもさまざまなムーブメントが生まれてきた渋谷・原宿に隣接する立地特性を踏まえ、憩いの緑と活動の場や、来園者が互いに影響し感性を刺激し合う多様な舞台を整備することで、来園者が自分らしく輝くことができる公園づくりを目指します。供用開始は、2024年春の予定です。

これらPark-PFI事業では、当社が培ったまちづくりのノウハウを生かし、コンソーシアムを通じて公共施設などの建設、維持管理、運営を実施するとともに、敷地の一部を賃借し、公園と一体となった不動産賃貸事業を行うもので、効率的かつ効果的な社会インフラの整備・運営に貢献します。

Park-PFI事業以外でも、当社は官民連携により、環境と調和するまちづくりを推進しており、公園などの緑に囲まれた公共スペースの整備は、サステナブルなまちづくりの重要な要素でもあり、この2件の事業は、東急グループが推し進める広域渋谷圏の面的なまちづくりにも通じてきます。官民連携や緑地・公共スペースへのアクセスの確保を通じて複数のSDGsターゲットに貢献するとともに、「職住遊」がそろったまちづくりを進めていきます。

住みたい街を世界へ ベトナム・ビンズン省 東急ガーデンシティ

特に関連するターゲット:

  • 11.3 包摂的かつ持続可能なまちづくりを促進
  • 11.7 緑地や公共スペースへアクセス

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • 安全・安心
  • まちづくり

当社とベトナムの企業で設立した合弁会社ベカメックス東急が進めている、ベトナム・ビンズン省ビンズン新都市開発では、人と環境にやさしいまちづくりを推進しています。ビンズン新都市はビンズン省の省都であり、行政機能や教育機関など、中心都市としてのあらゆる機能が集中しています。ビンズン新都市において、住宅や商業施設などの不動産の開発だけではなく、新都市の魅力を向上させる諸施策にも取り組みながら、開発を進めています。マンションプロジェクト「SORA gardens Ⅰ」では、開発コンセプトである「ガーデン」を空中庭園や壁面緑化により表現。続くマンションプロジェクト「SORA gardens Ⅱ」では、充実した子育て世帯向けの共用施設の整備、また全戸へのスマートホームシステムの導入を実現しました。エリア開発プロジェクト「MIDORI PARK」では、敷地面積に対して56%を緑地とし、小川や四季折々の植栽を配置することで自然を身近に感じられる住環境を提供しています。

ベカメックス東急の100%子会社、ベカメックス東急バスは、ビンズン新都市でクリーンな天然ガスを燃料とする安全・安心な路線バスを運行しています。大気汚染や交通渋滞が深刻なベトナムでバイクや自動車から公共交通機関に転換する「モーダルシフト」を進めるため、地域の皆さまの公共交通機関への理解向上の取り組みを含め、路線バス網の整備などに取り組んでいます。

2023年7月にはビンズン新都市初のショッピングセンター「SORA gardens SC」を開業しました。「暮らしにさらなる彩りを」をコンセプトに、物販・飲食・エンターテインメントが楽しめます。環境への取り組みとして、「高効率水冷スクリューチラー」および「調光型高効率LED照明」を導入し、年間で約700tのCO₂削減を見込んでいます。この取り組みは、優れた脱炭素技術の活用であることを認められ、環境省の令和3年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」に採択されています。

ビンズン省でのまちづくりは、長期視点で取り組んでおり、今後もさらに開発を進めていきます。「MIDORI PARK」エリアでは、2024年に高層住宅「MIDORI PARK The GLORY」が竣工予定です。

ビルも安全・安心・サステナブルに!BCMへの取り組み

特に関連するターゲット:

  • 11.3 包摂的かつ持続可能なまちづくりを促進
  • 11.7 緑地や公共スペースへアクセス

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • 安全・安心
  • まちづくり

不動産事業の「安全・安心」の追求

当社グループは、安全の確保を経営の最重要課題と位置付け、サステナブル重要テーマにおいても「安全・安心」を第一に掲げ、安全とそこから生まれる安心を追求しています。不動産事業においては、不動産物件における安全・安心を確保し、災害等の異常時の際でも、速やかに、人命を最優先に行動するともに、物件の復旧・継続を着実に行うため、BCM(事業継続マネジメント)を推進しています。これらの取り組みは、個々の物件の安全や安心、事業継続性を確保するだけでなく、ひいてはその街のサステナビリティの確保につながっていきます。

建物運営管理等を行う東急プロパティマネジメント(以下、TPM)は、地震・風水害等の自然災害、感染症等、人為的破壊活動その他、事業の存続に影響するあらゆる非常事態の発生に際し、その影響を最小に抑えることにより企業の社会的使命を果たすため、事業継続方針として次の3つを掲げています。

  1. 人命の安全確保
  2. お客さまへのサービスの継続
  3. 地域社会への貢献

この方針に基づいた各種BCMの取り組みは、TPM経営トップが「BC(事業継続)は経営」という視点で働き掛けを行っていること、BCの専門スキルを有する人材を育成していること、遠隔地の同業他社と協定を締結して訓練を重ねていることなどが評価され、特定非営利活動法人事業継続推進機構より、BCAOアワードの事業継続部門において、「特別賞」と「人づくり・訓練賞」をダブル受賞しました。これは、ビル管理事業者としては初となります。

テクノロジーを活用したBCMの推進

具体的な取り組みとしては、年1回の安全点検、年2回の安全巡視、事故情報の共有および活用の他、テクノロジーを活用した建物管理や、正確かつ迅速な情報収集と評価を行っています。東急建設と富士電機によって共同開発された4D-Doctorは、建物内にバランスよく配置された感震センサーのデータを解析し、建物の健康状態を診断するシステムです。このシステムを採用している建物では、日常的な振動のデータを、耐震補強や建て替えの時期、災害時の被害想定などの検討に活用している他、大規模地震発生時には、システムが建物の構造安定性を自動判定し、地震の揺れが収まってから約1~3分で判定結果をモニターに表示することなどにより、BCP(事業継続計画)を支援します。また、災害発生時の速やかな情報収集および共有を目的に、東急建設、東急リニューアル、イッツ・コミュニケーションズと協働で、Dr.BC・プッシュを開発し、TPMの現場力と併せて、建物のサステナビリティを確保します。

災害食の備蓄と普及支援

また、災害発生時の帰宅困難者を受け入れる施設の整備を推進している他、被災時に働き続けるための食料として「災害食」(火や水なしで温められ、栄養バランスやカロリーを備えた食料)の備蓄を推進し、さらにはグループ会社などの関係各社にも紹介し導入を支援するなどの浸透支援を推進しています。首都直下地震では避難者が720万人にもおよぶと見込まれており、TPMでは、1週間分の災害食を組み込んだ備蓄を導入することで、ライフラインが止まった中でも働き続けるための環境を整備しました。これは、被災時において生活インフラであるビルや施設の管理を継続するための取り組みです。TPMでは、これらの災害食を家庭におけるローリングストックの方法を応用し、災害食の備蓄サイクルにおいて、実食訓練や社内販売などと併せてアンケ―ト実施により品目の見直しを行い、従業員の意識の向上を図るとともに、賞味期限が短い食品でも備蓄できる仕組みづくりにも取り組んでいます。また、これらの災害食の普及を促進するために、東急グループや社会への発信活動などにも取り組んでいます。

コロナ禍でも街の「衣食住」を支え続けるリテール事業

特に関連するターゲット:

  • 11.1 住宅及び基本的サービスへのアクセス

他に関連するゴール:

関連するサステナブル重要テーマ:

  • 生活環境品質
  • まちづくり

当社のまちづくりは、土地開発や不動産開発だけでなく、鉄道やバスなどの交通インフラの他、住民の皆さまの毎日の生活を支える生活インフラやサービスと一体的に取り組んでいることが特徴です。中でも、毎日の衣食住を支えるインフラ、サービスの持続可能性の確保は、重要な責務であり、課題と言えます。

東急ストアは、東急線沿線を中心に店舗を展開するチェーンストア事業会社です。東急線各駅の駅やバスターミナルの近くに立地する店舗も多く、お客さまがお出かけの足でシームレスに必要な商品を入手できるサービスを提供しています。街の特性や立地によって複数の業態を展開しており、総合スーパーマーケットとしての東急ストアの他、さらに上質な品ぞろえとサービスを提供するプレッセ、大型スーパーが出店しにくい商業圏などで、コンビニとスーパーの役割を併せ持つ東急ストアフードステーション、食料品だけでなく、さまざまなジャンルのショップが集合する商業施設形態のフレルなど、街の特性やお客さまのニーズに合わせて店舗展開を行っています。

また、当社は食品や日用品のお届けの他、ハウスクリーニングや家事代行など、「家ナカ」をもっと便利に快適にするサービス、東急ベルを展開しています。東急ストアのネットスーパーは、東急ベルと連携し、店舗にお越しになるのが困難なお客さまや、新しいライフスタイルのご提案として、商品をご家庭にお届けしています。

2020年より続く新型コロナウィルスの感染拡大や、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出により、行動が制限されることがたびたびありました。多くの商業施設や飲食店などは休業要請などへの対応を行いましたが、東急ストアおよび東急ベルは、食品や日用品など毎日の衣食住に欠かせないエッセンシャルワーカーとして、感染症対策を十分に実施した上で、毎日休まず営業を続けました。暮らしに関する生活インフラやサービスを提供する企業として、「住み続けられるまちづくり」を支えています。